京都北山 北山の峠道 ’14.5.1 雲のち雨

 花背高原バス停-寺山峠-P861-寺山-旧花背峠-京見坂-P765-芹生峠-P760-滝谷峠-奥貴船橋-貴船口駅

 GWの狭間に北山の峠道を徘徊しましょう。今回のお目当ては寺山峠にほど近いCa861を踏むことと、京見坂から芹生峠間の尾根道における無雪期の樹林の観察でありました。もちろん、花粉の時期も落ち着きましたので森林浴登山もできるのだろうかとの楽しみとしました。

 寺山峠までは何度も歩いていますので、山野草や樹木の花たちはよく目にしています。でも今日はウコギ科のヤマウコギの新葉に出会えました。またカエデ科のチドリノキは芽吹きにはまだのようで、それとよく似る葉を持つ、カバノキ科のクマシデの花が終盤でしたが見られました。

 さて、寺山峠まで上がれば、これより南下の尾根には、ほとんどが広葉樹林帯の落葉樹が多く続きます。800mそこそこですがまだまだあたりの木々の芽吹きはこれからのようでした。山野草は今日は皆無で樹木花はコバノミツバツツジの独断場であります。

 本日の最初のお目当てである861ピークへの取りつきに寺山峠から20分で着きました。取りつき手前から見ていますと右前方は杉の植林帯との境目で自然林の支尾根を西向きに進みましょう。かすかにこの尾根を踏んでいる人があるようです。でも次第にアセビなどの藪状態地が出る場所があるようになります。しかし、尾根芯を忠実に踏みましょう。よく見ればテープもあったり獣道も見えますが、あくまでも頭を踏みながらの前進でした。小さなアップダウンの20分ほどで一番奥が高みのようでした。

 しかしながら、あたりの展望もなく思ってたほどの見栄えは残念でした。アセビの花以外にはイワウチワ、イワカガミの葉すらも皆無で見所なしの様子でした。これでは踏む人も多くはなく話題にもなる山ではなさそうです。やっぱり雪時の山でしょうか。ということで今度は積雪期には一度くらいは・・と考えながら引き返し、右手に杉林が続いていましたので、あえて樹林下を歩き薄暗いのですが森林浴効果を期待して深呼吸しながら南下の尾根を寺山へ進みましょう。。

 さて、3分もしないでピークらしくなくほぼ平な寺山に着けば、この一帯の目のさめるような新緑が待ってくれているではありませんか。この非日常の景色を目の当たりにして、すぐに森林浴について気がつきました。ではその森林浴についてさわりをふれてみましょう。

 アウトドアの楽しみ方はいろいろありますが、山歩きのなかでの森林浴は健康にすばらしき効果のあることが、ドイツで130年前に導入されたといわれています。この病気予防の効果のために日本でも30年ほど前から林野庁が提唱して森林浴のアウトドア化が世に広まったとのことです。
 樹木が放出する香の成分であるフィトンチッドは気温上昇に比例して増えるようですから、まさにこのフィトンチッドの放出はこれから初夏に向かって増加するのでしょう。そして現代社会はストレス社会ともいわれていますが、このストレスがたまれば高くなった尿中アドレナリンの濃度を引き下げて癒し効果を高めることで、病気予防に大きく貢献するといわれています。もちろん抗ガン作用もあって、癌治療への利用等の研究が進んでいるようです。

 春から夏にかけての山登りのよさは、なんといっても鮮やかな新緑が一番に目に入ってくることでしょうか。そして排気ガスなどで汚れた空気と違って山の空気は澄んでいてきれいで美味しく、心理的にも心身を健康にしてくれることとなるのですが、その空気の中の木々から放たれる香気成分こそが、私たちの心身をはつらつと元気にさせているのでしょう。これぞフィトンチッドといえるのです。
 さぁ、あなたも春から夏にかけての緑の濃くなる山に登れば私たちは健康になれ、かつ元気になれるといわれているのを信じて、さらなる山歩きを始めましょう。。そして、フィトンチッドの最も効果のある時期はやはり、新緑から深緑の季節である6~8月にかけてといわれています。この時期にかけて森林浴の山歩きをした人の中には、少し高めだった血圧が下がったり、コレストロール値が低くなったらしいです。また、喉の調子が思わしくなく啖がつまりやすかったのがなくなったとの報告もあるようです。

 このように緑に恵まれた山には、フィトンチッドによる心身を健やかにする不思議な力があるのです。せっかく山登りをするのであれば、特に春から夏にかけての山歩きには豊かな森林があって森が鬱蒼としている山を意識的に登ってみたいものです。
 なお、近年はスギ、ヒノキといえば花粉症の点から忌み嫌われているようですが、新緑のシーズンともなれば花粉の時期も終わります。というのは、このフィトンチッドはとりわけ針葉樹が、その香気成分の発散に期待できる効果が多いようです。もちろん、樹木ばかりでなく、山の花や山野草などの匂いなどにもフィトンチッドの健康効果が望めることも知っていただきたいですね。

 旧花背峠までは森林浴歩きの気分そのもの歩き、あたりの樹種にもとりたてて目の止まるものは、これだけ葉がまだ出ていないのですからよくは分かりません。旧花背峠から京見坂を少し西へ行けば林道別れに芹生峠への尾根取りつきがありました。

 さぁ、これよりは地形図が必要となります。なぜならほとんど踏み跡はないに等しいばかりなのです。道らしき分かるのは742先の鉄塔地あたりまででしょうか。今回もこの地で天狗杉や比叡山を眺めながら昼食とします。短い時の間ですが精神的にも何思うことなく心ゆくまでの場でした。

 この後は前の雪時に歩いた様子を振り返りながら、歩を進めましょう。たまには行きつ戻りつもしましょう。そんな道なき道、それにしてもコバノミツバツツジの見事な満開には飛び上がらんばかりの喜びでした。もちろん、ただ、ミツバツツジがきれいだな・・、などではありません。
 花柄、花糸、花柱、子房はもとより、展開の始まった葉を引き寄せ、葉柄の有様までもルーペで確認としましょう。同定の結果、葉柄が無毛でなく、褐色の毛があるのがこの山域ではコバノミツバツツジですが、個体を変えて観察すれども、みな毛がありました。

 また、ツツジの他にはスイカズラ科のムシカリ(別名オオカメノキ)だけが少しだけ咲き初めとなっていましたが、こちらは開花も始まったばかりの様子で、葉にいたっては目覚めがはじまったばかりのようでした。その他の樹木花の開花はなく、葉の展開が先に始まるグル~プが少しばかりで、それも高く同定容易ではありませんでした。

 それにしても、こちらの尾根の複雑な地形はめちゃくちゃ面白く、地形図の等高線の表現との現地の姿との相違点に苦しみながらの歩きとなりました。芹生峠の車道を走る車のエンジン音が聞こえるあたりに来て、正直ホッとしたのでした。
 う~ん、今度はこの尾根を反対歩きも楽しいだろうなと思いながら、車道沿いの山野草を少し楽しみましょう。残花といえども目の当たりにすればやっぱりうれしいですね。ボタンネコノメソウにキンシベボタンネコノメがまだまだ待ってくれていました。それにミヤマキケマン、ヤマルリソウ、マルバコンロンソウもなんとか咲いています。

 さらに南側の滝谷峠へ向けてフゥフゥいいながら登り上げたのでした。ところが760ピーク手前あたりで愛宕山や魚谷山などを眺めていると、東の空は一転にわかに掻き曇って全身を濡らすほどの雨が落ちてきてしまい、久方の雨具着用となりました。

 最近雨に会ったこともほとんどなかったのですが、今日ばかりは致し方ありません。この後は急ぎ足で滝谷峠から、崩落でやや道細くなっている道をロープを頼って通過し、東の奥貴船橋へ向けて足早に下山とします。カメラもザックに仕舞い、途中の野草類の観察どころではありません。そして後は叡電貴船口へ車道を雨中一途に歩くこととなってしまいました。トホホ

 本日の歩きは9:10から15:00までのほぼ6時間でした。なお、文中の森林浴等については東北大出の矢田貝光克理学博士の書を参照させていただきました。

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蛇谷ケ峰14.5.4  蓬莱山14.5.6  花の姥ケ岳14.5.8  クマガイソウ咲く簗谷山14.5.13  クリンソウ咲くポンポン山14.5.14 愛宕山14.5.25 蛇谷ケ峰14.5.29