比良 蛇谷ケ峰 ’14.5.4  晴

 
今日も元気だ!、森林浴を楽しもう!

 GWの蛇谷を登ってみました。しかし、山野草と樹木花との端境期は隠せません。湖北方面の山へ行くべきだったようです。ところが天候思わしくなくて今年もGWの山行は山域選びに失敗となるようです。でもフラワーシーズンはこれからでもありますので、今後に期待しましょう。

 今日は出町から朽木終点まで京都バス、その後はてんくう温泉シャトルバス利用で登山口まで楽をしましたが、このルート取りは初めての経験でした。そして今年3月末で閉鎖となった「朽木いきものふれあいの里」からスンゴ谷を登りましょう。

 新緑まぶしい谷歩きですが、残念ながら短かすぎて物足りません。しかし、フサザクラ、カツラ、サワグルミたちの新葉が目にやさしくうれしい谷歩きとなりました。ほどなく尾根に乗り上げますと今度はシハイスミレばかりの残花が階段続く道にたくさん咲いていましたが、どうも色あせた個体ばかりとなってしまっていました。
 もちろん、コバノミツバツツジは落下盛んとなって咲き終わっていました。ところでユキグニミツバツツジも分布域でしょうから探すのですが、コバノミツバツツジばかりでユキグニ・・は見つけられませんでした。

 上の方になればムシカリが満開でしたが、ムシカリこれだけでは物足りなくて、急な斜面のために人の来ない地へ少しばかり分け入って、ミズメとホンシャクナゲを覗いてみましょう。すると、さすがにミズメは終盤でしたが、ホンシャクナゲは咲き初めできれいに見せてくれました。では、ミズメを中心にやや詳細に見てみましょう。

 

   
 ホンシャクナゲ 花冠7裂  葉裏、褐色の軟毛が薄い

 さて、私にとってこれぞ『比良のシャクナゲ』でした。小説家・井上靖が作家デビューする前、詩人であったことはあまり知られてはいないと思うのですが、処女詩集に「比良のシャクナゲ」という短編作品があります。「これは義父の京大教授をモデルにしたといわれ、ひとりの老人の回想、感慨を通じて詩情がとおっているところを読み取りたい。またこの作には琵琶湖周辺の風景が多分にとり入れられており、その背景が有効に活用されている点がまず着目されている。」などと注釈で書かれています。
 比良山を歩くのであればと、この時期比良のシャクナゲを鑑賞しながら、井上靖の「比良のシャクナゲ」の文章に思いをはせながらの比良歩きはなかなかにしておつなものがありました。


 ゆっくりのんびり新緑を楽しみながら3時間ほどで蛇谷ケ峰(901.7m)でした。山頂には子供ずれも多く、大人も大勢の登山者の姿がありました。しかし、さすがにこの温かさですから展望は期待できません。東方面はあまり見えません、滋賀県最高峰である伊吹山すらはっきりとしませんでした。
 せいぜい、北から西方面はそれなりに見えました。高島トレイルの乗鞍岳から赤坂山、三重嶽に湖北武奈などでした。もちろん、武奈ケ岳にコヤマノ岳、釈迦岳からすぐのリトル比良の山並みははっきりとしています。
 こちらはアセビの木陰で東北方面からの風を避けて昼食タイムでしたが、賑やかに走り回る子供達にゆっくりする気にもなれず、天空温泉方面をよして、この時刻なら畑から近江高島周りが早く帰えられるコースだなと決めて腰を上げます。

 そうなれば、気になる樹木たちが待ってくれていることでしょう。うろうろ道沿いを見ながら降るも、さすがに時期尚早で、枯野状態では見つけること容易ではありません。お目当てはズミ、オオウラジロノキ、ミヤマザクラの三種でした。考えてみるとなぜかバラ科ばかりでした。

 でも、オオウラジロノキははっきりとその箇所の記憶がありましたから、観察はできましたが、残念ながら花の開花は全く様子なしで、まだまだ先のこととなるのでしょうか。そして葉の展開が始まったばかりの有様でした。5月が花期との図鑑解説から、恐らくこの山域では今月末となるのでしょう・・・?。

         
 オオウラジロノキの葉表   葉裏 白っぽい    10月頃の果実 

 酷似する葉を持つウラジロノキはナナカマド属ですが、オオウラジロノキはリンゴ属と分類が分かれます。ただ、秋になると風に吹かれて果実(↑右画像)はよく落下します。この実はリンゴを小ぶりにしたもので登山道沿いでしばしば見られます。
 しかし、両者とも花は高木でないと見受けないようで、私も実際に手に取って写真を撮ったり目にしたことはありません。今年こそなんとかして写真を撮るのが夢でもありますが・・・

 そして、後の二種のズミ、ミヤマザクラはどの木なのかすら判明せずでした。たしかズミは以前に出合ってはいるのですが、はっきりどの木だったのかも記憶になく通りすぎてしまいました。参考までに以前見たズミの花などをご覧いただきましょう。

     
 花柄2~4cm、実は1cm以下と小さい    葉は3~5裂あり、右は古い樹皮

 そしてミヤマザクラですが、ネットサーフィンで比良で咲いていたとの情報なのですが、ほんとうに蛇谷のような低山にもあるのでしょうか。私はこれまで関東方面の山では、この木の花や葉も出会ってはいますが、近畿圏で分布するかを確かめたくて気にしているものです。以前に見たミヤマザクラの花、葉、全体像などをご覧いただきましょう。

       
花は4~8cmの総状花序が特徴   花は葉が展開後に咲く 葉の裏の脈上に毛多し  大きいものは15mとなる 

 いずれにしても、この二種共、葉の展開にでも出会えば特定できるでしょうから、気長に探してみたいものです。いずれにしても本日のところは「1引き分け2負」でした。笑

 他に目にした花たちは以下のようにまだまだこの時期ですから少なく、食傷気味となるくらいの数を期待していた我が身には少々物足りなさが感じられた比良詣ででした。

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