南ア  紅葉の北岳を登る '12.10.5~8

 今年も北岳を訪れた。今回は秋山であった。それにゆったりと白根御池小屋連泊の日帰り登山と殿様登山である。二日目は山麓の芦安温泉から広河原登山口より取りつくが、白根御池方面の分岐を右に見送り、大樺沢の流れが心地よい。

 沢沿いの道は急登も少なく、紅葉の秋山が楽しめるようになると大樺沢二股は近い。もちろん二股まで来るとどうしてもミヤマハナシノブを探してしまういつもの習性だ。ありました!、10月というのに7月上〜8月中での花時なのに、まだ咲き残ってくれていた。キタダケソウとともに北岳を代表する花なのだ。さらにホソバトリカブト、タカネグンナイフウロ、クガイソウ、ミソガワソウ、ハナウドなどのいろいろな残花が見られた。(一部除き画像クリックで拡大)


わずかに咲き残っていた希少種のミヤマハナシノブ

ホソバトリカブト タカネグンナイフウロ クガイソウ ミソガワソウ ハナウド

 今日はここ三叉路の二股から直進の八本歯のコルや右俣へ向わず、トラバースして白根御池小屋へ向おう。オガラバナ、ダケカンバ、ナナカマド、ミネザクラなどの黄葉や紅葉の中を進むと珍しく紫色に紅葉したウド(ウコギ科)を発見することができた。
 なお、このように紅葉しているそのメカニズムについてはこちらを読んでいただこう。


紫色の紅葉は比較的珍しい

 このように見事ないろいろな紅葉の景色を楽しみながら、今晩の山の宿は白根御池小屋だった。池の周りにはカラフルなテントもなかなかのものだ。そして明日登りあげる草すべりを見上げて、ヤマハハコの可愛い姿が出迎えてくれ、楽しく宵の歓談が延々と続いた。(以下画像クリックで拡大)

 三日目が本番の登山だが、6時ころからスタートするも、ゆったり紅葉を楽しみながら登りたかったのだが、生憎の小雨となってしまった。しかし雨はそうきつくなく、しっとりとした秋彩の中を無事に肩の小屋まで押し上げた。

 一本立てた後は、ガラ場から北岳山頂へアタックしよう。しかし、山頂付近には今朝ほどの小雪がわずかに残っているではないか。岩を滑らないように注意しながらようやく富士山につぐ高峰3193mの北岳であった。展望に泣いたが、またリベンジはもちろん機会ありだろう。

山頂直下に雪 北岳

 展望はダメだったが、風もそんなに寒くなく大休止して頂の憩いを楽しむことにしよう。そうはいっても半時間もすれば誰かはもう出ようとの声も出るのはやむを得ない。休憩時間は伝えていてもどうしてだろうか。早く腰の浮く人がいつでも出てくるようだ。では行こうと山頂を辞すことになる。
 また草すべりから白根御池小屋へ下山しようと予定の行動だが、右俣コースから草すべりに入るや青空が広がってくるではないか。一同感嘆の声にわかに大きくなるも、しかし、その空も長くは続かず真っ白になったり青くなったりの繰り返しで、まさに女心と秋の空のようだとの声の出る始末であった。

下山中の青空に 輝く秋色の光景に感動

 大樺沢の雪渓が見えるあたりまで下りてきてもすばらしい紅葉景色が続いて楽しませてくれる。そして小屋が見えだしてくると向いの稜線上には鳳凰三山の山並みも鮮やかに浮かび上がっているが、なにはともあれ、今夏に見た華やかなタカネビランジや希少種のホウオウシャジンの花たちが思い出され、まだ見ていない方々には来年こそ是非ご覧いただきたいなと、ひとり笑顔となっていた。

どこまでも紅葉 鳳凰三山の観音岳と薬師岳

 最終日は白根御池小屋から広河原へ下山し、南アルプス林道を車窓観光後、仙流荘で汗を流して帰京するのみだ。しかし、いつものパターンで下山するようになると天気がよすぎるではないか・・・。広河原のつり橋を渡って右に見えるは北岳バットレス、そして南アルプス林道からふり返ると、これまた今夏登った甲斐駒、駒津峰に双子山がまた来年も来いヨと言ってくれているようだった。

北岳バットレス 甲斐駒、駒津峰に双子山

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秋彩の氷河公園

桑原橋から白倉岳

ジンジソウのポンポン山へ

甲武信・金峰・瑞牆山

本坂から大比叡を歩く

夏沢鉱泉より赤岳を行く