京都西山 ジンジソウのポンポン山へ '12.10.24

立石橋-展望台-ゴルフ場-京青ノ森-釈迦岳-ポンポン山-リョウブの丘-竃ヶ谷-東尾根鉄塔地-第二ベンチ-東尾根-嫁入道-西山キャンプ場-立石橋 

 10月下旬では低山帯の紅葉はまだまだであるが、秋花の残りでも探して歩いてみようと我が裏山の徘徊であった。この時期であれば当地にはコウヤボウキが咲き残り、ジンジソウもまだまだ十分咲いていることだろう。それに吉事があると咲くという伝説のキチジョウソウも咲いているだろうかと考えながら家を出たのである。

 ところがどうだ。一番最初のキチジョウソウ地に着くとまたもや市が発注した林道工事のための砂、砂利にユンボ置き場などの地とされてしまうなどで、お花などどこ吹く風の状態となってしまっていた。
 このキチジョウソウはよほど運の悪いところを住処としてしまったようで、これまでからこんな工事がらみのせいで消えては芽だし、消えては芽だしの連続であるのが悲しい。当分はキチジョウソウの花そのものはもちろん、常緑の葉も花をつけるほどの成長には相当年月がいることだろう。

 その後にはタマミズキの赤い果実の鈴なりを期待して進んだが、こちらは樹木の実なりが裏年のようで、ほとんどついていないのだ。これはタマミズキだけでなく、他のほとんどの果実が少なすぎるように思えるのだが、山域によっての差があるのだろうか。
 大木の直下にいつもなら踏みつけるほどの赤い実がこの時期であれば散らばっているのであるが、探してもまったく見当たらないのである。もちろん高木のために首が痛くなるほど見上げて果実が付いているのか見るも高すぎることもあって、赤い実などまったく目に留まらないのである。

 続いて稜線まで上がって比叡山など東の山並みが望まれる展望台まで行くと、ようやくコウヤボウキが咲き残ってくれていた。しかし、これもほとんど終盤で花弁は痛んでいるようだ。

     
コウヤボウキ(キク科)

 こうして、今日の歩きはあまり期待するものはないのだろうか・・、などいろいろな事が頭を巡りながらの樹林のさざめきである。京都府と大阪府の境界を歩いていることから、大阪府のたてた黄色い看板が飛び込んできた。それは『水源かん養保安林』とある。

 調べてみると保安林とは、森林法25条で決められた水源のかん養、土砂の流出、崩壊、その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公共目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林とのことだ
 この保安林には
農林水産大臣が指定する①水源かん養保安林②土砂流出防備保安林③土砂崩壊防備保安林と都道府県知事によって指定される防風保安林等14保安林の合計17種類があるようだ。

 ところで日本の森林について考えてみたい。資料によると日本の国土に森林の占める割合は68.2%といわれ、世界の先進国の中では73.0%でトップのフィンランドについで2位であり、3位が66.9%のスウェーデンといわれているようだ。アメリカ32.6%、イギリス10.4%と雲泥の差であり、1億3千万人に近い人々が森と共存する国は世界に類がなく、わが国は自然大国と呼ばれてもおかしくはない。

 このような自然大国に身をおくことを幸せと感じ、保安林の意味合いについても誰もが理解しながら、森との共存に努めたいものである。それには森の中で育まれる植物たちとのふれあいが一番ではなかろうか。

 さて、ゴルフ場沿いから京青の森、そして釈迦岳の三角点地を踏んで、本日の高みであるポンポン山(678.9m)2等三角点にお久しぶりネ~♪と挨拶である。いつものように自宅から3時間の道のりであった。一番に目のいくのはもちろん山頂の木々の果実たちだが・・、やっとカマツカの実が残っていた。

         
 ポンポン山    左から地蔵山と愛宕山    カマツカ(バラ科)

 北側には愛宕山と地蔵山がはっきり見えるのもうれしい。もちろん東方向には比叡山や音羽山に千頭岳なども展望OKだ。西には同じ標高をもつ鴻応山がくっきり見えるが南の生駒山は霞んでいる。
 土日と違って静かな山頂でひとり何おもう、華やかであった今夏の度重なる夏山のことばかりが脳裏に巡りくるのであった。それは多くの出逢いがあり、ことのほか有意義な人と人との交流だったことだろうか。今後も安全第一のガイディングに励むべく回毎に努力と研鑽が必要であろう。

 はてさて、それてしまったが、山頂からリョウブの丘、そしていよいよ最後のお目当てである竃ヶ谷のジンジソウ地だ。きのうの雨で谷の増水を心配しながら来たのだが、運よく増水はなく難なく渡渉できてのジンジソウ(ユキノシタ科)であった。花の形が人の字に似ることからの花の名である。
 なんとか咲き残っていました!。きれいに4株もほぼ満開だ。うっとり眺めながらしばらくひとり悦にいっているのであった。もっとも雄しべの先の葯が全部の10個残っているものは見たらず、一部落ちてしまったものばかりのようだったが、それでもそれなりに可愛らしい姿だったのだ。

 なお、近縁種に花が大という字に似ることからのダイモンジソウだが、前者が寒くなりかける晩秋に咲くが、後者は7月ころの暑いころから開花する点が大きな相違点だろう。しかし山地の湿った岩上に生えるのは両者とも同じだが、なぜかその地には片方しか咲かないようでどうやら住分けているのだろうか。(画像クリックで拡大)

 この花、ジンジソウを見れば大満足としよう。この後は竃ヶ谷を引き返して欅の森、さらに荒れ放題の谷筋を遡って古道によじ登り、東コースに出て鉄塔地から本線に合流してから嫁入道を西山キャンプ場へと帰ってきた。
 そうそう、登山口近辺ではニソト(京都第二外環状有料道路)の工事が着々と相当進んでおり、いよいよ開通が近づいてきたような雰囲気だ。早く完成しニソトを走ってみたいものである。これも楽しみのひとつだ。なお、本日の歩きは約8h、それもほとんど休憩なしであった。

 さぁ、今週末からは本年最後の日本百名山三座の案内である。どうか雪にならないでくれヨ!~~。祈ろう!!

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