京都西山 雪のポンポン山 ’15.2.1 小雪&曇り

立石橋-京青ノ森-釈迦岳-ポンポン山-美女谷-町界尾根-嫁入り道-西山キャンプ場-立石橋

 珍しく我が裏山にも雪が降ったようだ。どうせ暇つぶしなら雪の中がいいだろうと犬ころのように喜び勇んででかけてみた。歩くルートはどこでもモードである。とりたてての話題もないのだが、私の訪れる山塊では比較的目にするのは類まれなる樹種を確認してみよう。。

 自宅から3時間で登れた山頂は子供会の集団登山だろう、元気にはしゃいでいる。それにしても運動靴でこの子たちの下山は大丈夫だろうかと気にかかる。加えて引率者の顔ぶれも山慣れない母親たちのようで大胆だなと心配するのだが・・。
 それから若き人たちも負けずに大声で談笑が続いている。こちらは元気な面々で見ていても頼もしい。もちろん毎日登山メンバーの高齢者は、いつものようにブルーシート下に陣取って、震えながら宴会が続いているようだ。
 いずれにしてもポンポン山山頂の人生模様は、どんな季節の頂でも物語が詰まっているようで小説を読むような気分になれるのがよい。『下山の思想』でもベストセラーとなった五木寛之ならどのように小説化するのだろうかなどと瞑想を楽しもう。

 

 さて、登り途中のクリンソウ地は雪の中で、今年も5月の連休明けには群落で満開になってくれよと可憐な姿を思い描きながら一息いれよう。展望についてはさすがにこの空模様だ。多くは望めないが途中のベンチ場あたりからは薄らと日がさしてくれ、生駒山が見えたのは救いでもあった。もちろん、山頂からのいつもの愛宕山なども雲厚くまったくの顔なしはやむを得ないだろう。

             
 クリンソウ地    一時晴れ、ベンチ場から薄く生駒山    釈迦岳山頂    山頂へは左、右は東尾根へ

 下山はよく歩く美女谷を降り、川久保林道を少し上がろう。そしてここまで歩いても今日は寒いので高槻市と島本町の町界尾根の急登をやろう。この尾根でしっかり身体を温かくしてくれ、満足で今朝登って来た稜線を進み、東海自然歩道分岐を左に見て直進する。釈迦岳を降って川久保尾根別れ左折で、壊れてしまった第二ベンチから東尾根へ降りて西山古道から嫁入り道へと進んだ。


 さて、このルートで本日のお目当てのツツジ科スノキ属の『シャシャンボ』を観察としよう。この種はほとんどこのルート以外の山の自然界では目にしたことがないほど稀なのだろうか。いや、容易に探せない種ではないのだろうか。実は以前に長岡天満宮あたりの公園で、植栽のこの樹種が目に留まっていたのだが、いつか自然の中での個体を見たいと思っていたものである。今回も画像はボケたものばかりだが並べてみたい。

 そうはいってもこの時期は比較的見つけやすいのだろうか。葉だけのパッと見でよく似たものはツバキ科のヒサカキ、サカキやヤブツバキではと惑わされることがある。もちろん、冬期以外ならツツジ科の仲間内でもネジキ、アセビなども樹肌が酷似しているのだが、ツツジ科ではこの種は樹高が他と比べて比較的高く、常緑樹のために葉そのものが異なり、同定は容易だろう。
 しかし、冬期であれば比較的背があり、樹肌が特徴的であるので見つけやすいだろう。それに決定的な同定ポイントは、常緑の葉裏を葉先から葉柄に向けて指で撫でて、部分的に突起物があればシャシャンボである証となるのだ。

     
 3mほどで上部で左へ曲がっていた。   同じものを中ほどから下を拡大 

 樹高は図鑑では3~6mほどになるようだが、この個体は3mくらいに見えた。樹肌は縦に割れやすく、剥がれ落ちると赤褐色の樹肌が表れるようだ。もちろん、この点も同定ポイントのひとつだが、やや難しい。

         
 葉腋の間に赤っぽいのが冬芽    葉表の葉脈がはっきり見える    肝心の突起部分だがピンボケ(泣)

 それに冬芽の相違点も知っておきたい。↑で挙げたツバキ科の冬芽は枝先に細長くつくが、シャシャンボの冬芽は、葉腋に赤色の丸っぽく小さい。これらの相違点を知っていればこの点でも一目瞭然だろう。また、葉表の低い鈍頭の鋸歯姿での同定はやや決定打なく、決めては容易ではなさそうだ。というより、時期を問わずに葉裏の主脈を撫ぜ、わずかにひっかかりがあるかどうかが最大の同定ポイントをしっかりインプットしたい。(ちなみに5年ほど前に公園樹の葉の標本を出して、この記事作成時に触ってみたが、やはり突起らしき指の感触が感じられた。)

 そして、最後に公園の植栽樹では開花の花姿は確認しているのだが、自然のシャシャンボは5~7月に3~8cmの総状花序を出して白色または赤みを帯びた花を下向きに多数つけるようだ。この花冠は5~7mmの筒状の壷形だ。近縁種のネジキの花は見る機会が多いので山歩きの方はご存じの方も多いが、シャシャンボの花もネジキによく似ているのだ。でも山の中でのシャシャンボの花を未確認なのが残念だ。
 もちろん、ブルーベリーと同じというより、高山帯で見かけるクロマメノキの果実の味がするといわれるのだが、このシャシャンボの実は5mmくらいの大きさで9~10月に紫黒色に熟すとあるので、これらについても花と果実ともに続けて観察していきたいものである。

 最後にシャシャンボというおもしろい名前のついた由来を山渓の図鑑から引用してみよう。「まるい小さな実が多数つく様子を小さい坊や、すなわち「小小ん坊」と呼んだものが転訛してシャシャンボとなった。」とある。

ホームヘ












天空の霧氷尾根から釣瓶岳’15.2.4  野街道からの釣瓶岳'15.2.7  雪の魚谷山’15.2.11  雪の雲取山’15.2.15