京都北山 雪の魚谷山 ’15.2.11 曇り

 北大路=雲ケ畑岩屋橋-祖父谷林道-オ梅谷林道-魚谷峠-魚谷山-柳谷峠-芹生峠への尾根コース-滝谷峠-二ノ瀬ユリ-貴船口駅

 北山を愛する岳人の心の故郷ともいわれるのだが、冬の北山にもくもく号で雲ケ畑より入って、祖父谷林道を岩屋橋から歩いてみた。本日のマイクロバスには他に7人が登山者で、左の岩屋橋からみな桟敷ケ岳へ薬師峠に向かっていった。よし、祖父谷へはひとりのようだからと気持ちを引き締める。だが、新雪が多そうだからのんびり行こうと洛雲荘前からスタート(9:25)である。

 ところがすぐに踏み跡が見えてきた。え~、先を越されたか。こちらを歩くのだからまさか桟敷ではなく、私と同じ魚谷山だろう。ま、仕方ない、しばらく長い林道を歩くのだからトレースを借りるのもいいだろう。そんな気持ちで行けば、左に林道上がる足谷あたりまでくると雪の量は相当深くなってきた。多分昨夜から早朝までの新雪だろうか。先行者は恐らく車で入ったのだろうが、靴跡はどうやら3人ほどで1時間ほど前を先行しているようだ。40分ほどでオ梅谷への橋(10:05~10)となる。ここで447と標高を合わせよう。

 林道だから、勾配はそれほどでもなく、ツボ足でどんどん歩く。そして最初の左側に伸びる林道あたりで先行者が立ち休憩しているのに追いついた。見れば女性二人を含む高年5人パーティーだった。さっそく、「助かりました。どうぞ先へ行ってください。吾らは雪深くてゆっくりしか歩けないので・・・」という言葉が返ってくる。
 聞けばタクシーで入り、魚谷山から惣谷へ下山の予定という。そんなに違わない時間帯に来られるのに、高いタクシー利用とはこのメンバーはリッチだな・・。それに深い雪道なのに全員がアイゼンしか持ってなさそうだ。このような状態であれば、下山の惣谷林道でも苦労されるのでは・・と余計な心配である。

 こちらはすぐにシューをつけてラッセルで先行である。すぐに惣谷林道へ合流し、ますます積雪は多くなる。結局このパーティーとはこれきり会うことはなかった。こちらはシューを履けば惣谷林道から魚谷峠は目と鼻の先で到着(11:15)したが、どうやらこれよりノントレーを楽しめそうだ。さすがにこのあたりまで来て前方に広がる山並みを眺めれば、山奥に来たような気分になって胸が躍るというものだ。

             
右前方の橋を渡ってオ梅谷林道へ    林道上部は左からの落雪が高く・・    右からの惣谷林道T字路の雪景色     三本の林道を合わせる魚谷峠

 そしてひと登りで魚谷山(11:28~43)であった。もちろん三角点は雪の下で見当たらなかったが静寂の北山のピークだ。これを求めてやってきたのである。狭くこ広い頂だが、周りは古木の松の木も枯れかかっているも、アセビなどの小潅木が多く立ち展望を消している。
 昼食後さぁ、この後は柳谷峠(11:48~53)へ降りて一帯の北山の峠に広がるまほら谷の雪のさまを楽しもう。でも、今日はあまりに温かすぎたようだ。雑木林の霧氷はまったく消えてしまっている。800mにも満たないこの地であれば望むべくもない。できれば見たかったのだがやむを得ない。でも、さすが「京都岳人の揺籃の地」ともいわれる所以がここにあるのだと想いながら眺めた。

         
 魚谷山(816.2m)3等三角点    柳谷峠    まほろ谷の源頭あたりか

 それより、この後の芹生峠方向への尾根歩きを楽しもう。といっても稜線に上がればCa820(12:00)からはほぼ降り歩きぎみとなるので、体力的には魅力に欠けるだろう。そうはいっても無雪期ならば、ほぼ踏み跡ができ、そして多すぎるくらいのテープ類で歩くのは容易なルートとなっている。
 しかし、これだけの多雪時であればテープ類は半分は確認しずらいことを承知しておきたい。基本である地形図とコンパスを楽しみとするくらいの気持ちの歩きとしよう。それでも後半部に二度ある最初のコルへ降って一息いれ、東に左方向へ斜めに登る。それから稜線を東へ降った後に、今度は北へ最後の急登が済めばルートに気を使うのもエンドだろう。

     
 Ca820にもテープ多く方向指示板まで    一つ目のコルから登りに・・

 そうすれば、伐採後に鹿除けの網が張り巡らされた上部あたりに芹生峠が下に見え、向かいの山並みの東向きにドコモの鉄塔が目に飛び込む地(12:55~13:10)あたりまで降りてきてしまう。この芹生峠上あたりから花背の鉄塔や天狗杉を眺めて本日の核心部を終えた安堵感で雪のベンチを作って腰を落とそう。

 

 すっかり腹ごしらえも済めば、少しの前進でP760(13:20~25)でも先ほど歩いてきた魚谷山から尾根コースのグルっとした尾根を眺めて、また一本立てよう。もっとも本日の天候もいつものようによしとはならず、愛宕や地蔵もほとんど見えずの状況であった。

     
 北山でよく見かける札    名物の一本杉の奥に魚谷山

 この後も滝谷峠までの地図読みをしながら歩こうとすれども、黄色い幅広のテープが目障りなほどあって、ただ単に新雪を探しながらスノーシュー駆け下りを楽しむのが精いっぱいの歩きでしかなかった。その滝谷峠(13:50~55)へ降りればリョウブの木が無残にも倒木となって、峠の四差路を邪魔していた。休日というのにさすがに天候思わしくなく滝谷峠のこの後も、珍しくまったくのノントレーではあるも、シューを外して二ノ瀬ユリに向けての歩きにはツボ足で十分である。

 貴船山には寄らないで、道は山腹を左へ巻くように歩くが、左下への滑落要注意箇所であるために杉の木に「注意」の看板が下がっている。貴船山への別れから7~8分も歩けば案内板に展望良好と書かれる二ノ瀬尾根コースを歩くとケヤキの巨木が三か所も立っているのも楽しめた。この巨木コースを半時間ほど歩いて雪の消えたユリ道へ降り立った。すぐに夜泣き峠への別れだが、上には上がらず足元歩き難い道の二ノ瀬ユリをそのまま直進して、急坂を貴船口(15:25~51)へ下山した。

 本日はそんなに寒くはなかったのだが、途中小雪の降るような天気の中で、6時間の雪上ハイクを終え、着替えを済ませて叡山電車に揺られたのであった。でも、北山はやっぱり春の花のシーズンが私には似合っているようだ。

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