越後  カタクリの坂戸山   '12.5.8

 今回の越後花巡りのお目当て坂戸山を楽しみました。六日町カタクリ保存会のトレッキングマップで十二分に下調べの上での坂戸山でした。数あるカタクリの群生地の中でも一番の花の山らしく、期待どおりの花巡りが叶いました。

 もちろんわずかな標高(634m)で登って下っても3時間で歩けるのですが、今日は花巡り、ゆっくりとたっぷり時間をかけて花三昧です。↓画像のように坂戸山も両側に名だたる山とともになかなかいい姿を見せています。

 
                    正面に坂戸山、左に八海山、右に金城山    昨日の飯綱山からの帰りに写す

 坂戸山は坂戸城(さかとじょう)があったことでも知られています。この山は新潟県南魚沼市にあり、その山頂に存在した大規模な山城があったようです。さて、坂戸山山頂(標高634メートル、2等三角点)に本丸、麓に平時の住居跡の遺構が見られ、魚野川をはさんで、三国街道を見下ろす交通上の要地に位置しています。1979年6月11日、国の史跡に指定されました。上田長尾氏ゆかりの城として知られており、長尾政景や上杉景勝、直江兼続の居城として名高く、上杉謙信の姉仙桃院の嫁ぎ先でもありました。また上杉景勝が会津へ移され、かわって堀氏が越後に入ると、堀直寄が坂戸城主を務めたことでも知られています。(ウィキペディアより)

 私は昨日の花巡りで越後のおおかたのお花たちは見させていただきました。しかし、かの有名な坂戸山のカタクリ大群生も目にしたいものです。本日のコースは家臣屋敷跡から一本杉、そして少々登山道の荒れた城坂コース、さらにスモモの花を咲かせる桃の木平、そして山頂へ上がって小城、大城をピストンし、薬師尾根コースを下るコースどりでした。

 まずは家臣屋敷跡一帯のお花畑でしたが、スタートが7時ころとやや早かったためにカタクリたちは花びらのきれいなカール状態は見られませんでした。でも最初の様子から標高を上げればこれなら見ごろとなっていることだろうと嬉しくなって元気に高みを目指します。もちろんそばにはミチノクエンゴサクは満開です。でもエゾエンゴサクやショウジョウバカマ、オクノカンスゲはほぼ終盤となっていました。エンレイソウは満開ですが、見慣れた花は見向きもしません。

 登山道はうまくカーブを描きながら整備されています。それでも両脇に咲くカタクリたちはやや遅かったかな?と見まがうもの多く、早く見ごろの子たちに会いたいな、、との気持ちが焦り、どうしても足は速くなってきます。一本杉あたりの標識には城坂コースは道が雪害などで荒れているとのこと、でもこのコースにお花の多い情報を得ているため、躊躇なく先を進みます。
 すると思いも通じてきたのでしょうか。きれいな大群落のカタクリが出てきます。

 もちろんエゾエンゴサクも満開の個体も現れます。イカリソウは昨日はほとんど終わっていましたが、ここまで来ると満開もあります。もちろんスミレ類も満開でいっぱいでした。

 ↑画像はエゾエンゴサクの様子です。右は苞ですが、切れ込みはなさそうです。なお、どちらの山でも見られる近縁種のヤマエンゴサクの苞は切れ込みがあります。次に↓は背のきれいなイカリソウです。

 

 そして昨日は見なかったアズマイチゲもすぼんではいましたが残花に出会えました。キクザキイチゲとの区分点は葉の切れ込みが荒いというか葉が丸っぽく見え、鋸歯が先の方だけにあるのがアズマイチゲです。↓の画像で比較してご覧ください。


アズマイチゲ
 

キクザキイチゲ

 もちろんこの坂戸山にもミチノクエンゴサクが超満開でした。花は小さくて細く、花序は長くてよ〜く見るとなんて素敵なお花なんでしょうか。いくらでもデジしたくなってしまいました。

 

 山頂や大城一帯にもムシカリ、タムシバがきれいに咲き、イワウチワ、ユキグニミツバツツジ、ヤマハンノキ、白色や淡紅色のオクチョウジザクラはやや終盤でしたが、当地ではアニンゴと呼ばれているウワズミザクラが蕾をつけていました。


ムシカリ


タムシバとトチノキの新葉

 そうそう、関西人にはやや珍しいオクチョウジザクラについてもふれてみましょう。春一番に関西では近縁種ではキンキマメザクラが圧倒的に多いのですが、オクチョウジザクラの個体数は少なめであります。この種は葉の展開前または展開と同時に咲くマメザクラ(別名フジザクラ)のグループですが、その特徴はオクチョウジザクラは花は白色または淡紅色で、花柄に開出毛があり、密腺は葉身と葉柄の境目付近につきます。なお、分布は青森県から滋賀県の日本海側で、太平洋側には単なるチョウジザクラが住み分けています。

 樹木では他にもキブシが満開で、ミツバアケビ、アキグミも咲いており、マルバアオダモは咲き初めのようで、ナナカマドは日当たりのよい尾根筋でもまだ蕾でした。

 さぁ、お花はこれくらいだったでしょうか。では山頂や大城往復稜線や大城山頂からの大パノラマが楽しめました。そのあたりからの眺望についても見てみましょう。北に守門岳、手前の高倉山の上には八海山が堂々と君臨しています。本当はこの奥に越後(魚沼)駒ヶ岳もいるはずですが、重なって見えないのがとても残念です。その代りといってはなんですが、東にその越後(魚沼)三山の残りのひとつである中ノ岳もしっかりここにいるよと主張しています。さらにその右には小兎岳に兎岳、大水上山に丹後山の三国川源流の山並みも頑張って顔見世です。いずれにしてもこの上越国境の山々の贅沢な眺めに舞い上がりそうな気がしました。
 そして何よりも指呼の間の山は堂々たる金城山です。もちろんその奥には巻機山も高々と聳えています。そして南の遠くには苗場山までも白い頭を見せています。もちろん平標山・仙の倉、谷川岳なども見えているようですが確実な同定は難しそうです。

 冠雪をいただく山並みに惚れ惚れしながら、巻機山への道は長かったなぁなどと思い出に浸りながら、望岳の彼方をうつろな気持ちで眺めていると、生きている喜びとともに健康な身体に産み育ててくれた両親のことを思いだし、これ以上ないうれしいひと時を過ごせた山となりました。


左から八海山、中ノ岳、兎岳などに右手前に金城山  @大城より

 今回の花巡りの旅でもお花好きな方や地元の方々にも多数出会えました。みなさん心が通じて話がはずみました。お互いにいつまでも安全に注意しながらお花の山歩きを楽しみましょう。いずれどちらかのお花の山で出会えた時にはお声をおかけくださいませ。

 昨日の六万騎山から飯綱山のページはこちら

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