京都北山東部 京都一周トレイル(4)  ’14.12.3 曇り

 今回は4回目のケーブル比叡から大原戸寺までの10kmだけでは歩き足りないだろうと、手前の北白河仕伏町から歩き始めます。ただ、今回は瓜生山をカットし、57-1から右へ60番に直接歩くことにしました。最初にやや倒木等で荒れていますが十分歩け、瓜生山ルートよりなだらかな道が続きます。アキニレやコナラとともにコブシらしき落葉も見つけました。それにこちらのルートにはメタセコイアの若木が大分見られましたが、時を変えて植栽したものでしょうか・・?
 石の鳥居広場で一息入れて愛宕の頭が見えることに気がつきました。さらに進み、水飲み対陣跡まで上がって行くと、ガマズミの真っ赤な果実が野鳥や猿などに食べられもせずに、たわわに残っていました。その場所より上の方では12/14に開催予定のトレラン大会に備える若いギャルたちに何組も出会います。この時間だと、ケーブル八瀬より上がってきて走り出したのでしょうか。見れば山歩きも全くの初心者姿のようなのに、走ろうとするなど問題ありそうな子も目にとまりました。アクシデントのないことを祈るばかりです。

 ケーブル比叡74番までは前回歩いていましたが、今月のツアー実施日には叡山ケーブルは12/8以降から休業となってしまうために、上の駐車場へのバス回送とします。そのために、今回は73-1から73-3へ登り、これより直進して山頂駐車場まで歩きます。

 今朝道標54番の日本バプテスト病院あたりから9時前スタートでしたが、ゆっくりのんびり歩きとして、山頂Pへは12:40着の無茶遅いゆっくりタイムな歩きでした。実際には当然さらに、これより1時間ほどゆっくり歩きで遅い到着予定です。今日はガーデンミュージャム比叡などの観光客も数えるほどしか姿はありません。トイレ設備も確認して冷たい北風の中で震えながらの昼食(12:45~13:05)としました。

 この後は、来年3月から実施予定なのですが、次の行程の4回目シリーズです。しかし、ここまでのペースで歩けば暗くなりかねないために、通常の速さで辿りましょう。北山1から3まではオミットし、4番道標のつつじヶ丘展望台へ直に下ります。

 北山のなかなかの眺めが広がっていました。大パノラマの山座同定としましょう。左から愛宕山三山、桟敷ケ岳、雲取山に杉峠のドコモ鉄塔が目印となります。そして、右には京都府最高峰といっても972mしかないですが、皆子山がどっしり座っています。第二位の峰床山は皆子の北側で見えません。さらに一番右には比良山塊で権現岳に蓬莱山などです。その手前にはこれから進む横高山に水井山も指呼の間に見えます。

 

 この後には6番道標前の橋を渡れば比叡山西塔のエリアに入ります。まずは山王院堂からお寺さんの案内としましょう。こちらは千手観音を祀ってあり「千手堂」「千手院」という名でも知られています。弁慶が千日間こもったそうです。

 

 そして、この後は左側すぐ横から浄土院への下りの段差のきつい階段を降りて行きます。右側の方が多少は緩い段差でしょうか・・・。すると浄土院です。こちらは伝教大師・最澄の御廟がある浄土院で弘仁13年(822年)6月4日56歳で入寂された大師の遺骸を、慈覚大師が仁寿4年(854年)7月ここに移して安置したと言われる寺です。現在は十二年籠山の僧が毎日、生身の大師に仕えるごとくに奉仕しているとのこです。参拝者入口から入らせていただきます。庭の砂紋ですが、同心円と渦巻きがあるようで、これは渦巻きでした。

 

 駒札には比叡山中で最も清浄な聖域です。とあり、また、侍真(じしん)と呼ばれる最澄上人の御廟を守る僧によって、早暁より薄暮まで勤行と掃除勉学に励んで、十二年間山を降りない、籠山修業の内規に則って、生活をしていますとも書かれています。侍真は午前三時に起き、厳しい戒律のもとに、比叡四名物の「論、湿、寒、貧」に耐え、最澄が比叡山で修業した十二年間にちなみ、十二年間も山を降りぬことなく、浄土院に籠もるのであるといいます。
 また、比叡山の修行僧には「比叡の三地獄」と呼ばれる行があるとのことです。それは①法華経をはじめ膨大な経典を繰り返し読むという横川元三太師堂の看経地獄、②千日回峰行で千日の間、毎日かかすことなく三十キロ、比叡山中の霊地、霊石、零木をひたすら礼をしながら歩く修業で、回峰行、礼拝行ともいわれ、途中で挫折した時には懐剣で自害するか、腰ひもで首をくくるという毎日が死と隣り合わせの回峰地獄、③最後がここ浄土院の掃除地獄といわれ、依身より依処との精神で参道はもとより、回峰行の山道まで日々掃除されているといいます。

 浄土院近くで、すれ違いざまに単独の若い中年男性がオオビエイ(大比叡)はこの先でいいのでしょうか?、との声にそうですよと答えたものの、このあたりで道を尋ねる山人では果たして、分岐多くあるややこしい目的の山頂へ辿りつけるのでしょうか・・・。といらぬおせっかいの思いでした。

 そして、近くには椿堂がひっそりとあります。聖徳太子が比叡山に登られた時に、椿の杖をさして置かれたところ、その杖が芽を出して大きく育ったとのことから、椿堂と名がついたとあります。ご本尊は千手観世音菩薩が祀られています。

 

 左に上がれば、「弁慶のにない堂」と呼ばれるお堂が二つ並んでいます。それぞれ重要文化財指定で、常行堂、法華堂です。同じ形をしたお堂が廊下によって繋がっています。正面向かって左が、四種三昧のうち、常行三昧を修す阿弥陀如来を本尊とする常行堂、右が法華三昧を修す普賢菩薩を本尊とする法華堂です。弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったとの言い伝えから、にない堂とも呼ばれています。と比叡山延暦寺のHPにあります。↓の写真は右側の法華堂です。

 

 この中央の廊下をくぐり、石段を降りれば、西塔の中心地となる釈迦堂です。こちらは第2世天台座主寂光大師円澄によって開かれました。西塔の本堂にあたるのがこの転法輪堂です。一般にはご本尊の釈迦如来にちなみ、釈迦堂の名で知られています。
 現在の釈迦堂は、延暦寺に現存する建築中最古のもので、もとは三井寺の園城寺の金堂でしたが、秀吉が文禄四年(1596年)に西塔に移築したものといわれます。 国重要文化財に指定されていると、延暦寺のHPにこの文で載せられています。なお、釈迦堂の手前にあるトイレは使用禁止となっていました。

 釈迦堂すぐで、明治、大正に活躍の、旅と酒の歌人として知られる若山牧水 の歌碑が立っています。彼は大正七年五月に比叡に登り、この地にあった荒れ果てた本覚院へ一週間滞在し、選歌や原稿をつづり山に遊んだといわれています。

     『 比叡山(ひえやま)の 古(ふ)りぬる寺の 木がくれの 庭の筧(かけひ)を 聞きつつ眠る   牧水 』

 

 なお、本覚院はそもそも研修道場のようで、釈迦堂東奥にある今の居子林道場が参篭者の宿泊研修道場のようです。そして玉体杉の休憩ポイントでした。こちらは千日回峰行時のお坊さんが唯一座って休める所らしく、長い石のベンチが配置されています。
 そして座った回峰行者は御所を拝して平和を祈念するといわれます。私も座して手を合わせ、御所に拝して本日の安全と一家の健康を祈願するのでした。そこへ若いアベックが来られました。お坊さんが案内役のようです。足元を見れば素足で、もちろん手袋もされず、きれいな袈裟姿のお坊さんの案内が始まりました。反対側のおそらく横川中道方面からでしょうか・・?、お坊さんガイドは丁寧にいろいろと若い二人へ説明を続けておられました。
 この寒さの中なのに素足を見ただけで、こちらはブルッと震えそうでした。さすが、比叡山で修業を積まれたお坊さんならばこその感じでした。当方が居たのでは邪魔だろうと失礼し、先を急ぎましょう。

 

 コースはドライブウエイの下をトンネルでくぐり、平行して峰道を快調に歩きますが、この一帯はいつきても人と会うことはほとんどありません。12番のせりあい地蔵から横高山への急登をやりましょう。でも短いですから、フウフウいいながらすぐに山頂でしたが、西からの寒風で休むどころではありません。一気に下ってまた水井山への急登でした。こちらはやや長めで、ゆっくり登ります。
 京都一周トレイル中での最高点でもある水井山ですが、それでも800m切れの794mでした。少し先の樹林帯で一息いれてから進みます。ヤマコウバシやホウノキの落ち葉を見て、コル通過のここは3月の歩く時にはアブラチャンが黄色いお花を見せてくれるのだろうかと思いながら、薄暗くなった植林帯を行き、あたりが明るくなれば迎木峠到着でした。ここにはいろいろな標識が立てられていました。

 

 そして、少しで東海自然歩道と別れてボウーイスカウト道に左折します。急坂の植林帯を下れば荒れていた沢筋がきれいに片づけられて、新しい立派な橋が設置されていました。そして林道を進めば獣害除けのゲートです。もうここまで降りたのですから、大原戸寺バス停は近くです。4時過ぎで暗くならなくて助かりました。

 大原街道の信号先に道標北山24番をゴール(16:15))に、そばの「味工房 志野」に立ち寄りましょう。トイレをお借りし、栗大福もちをお土産としましょう。これがなかなかの美味でした。案内のように寄り道に値するいろいろな地元産の食べ物が並んでいますから、京都一周トレイルの下山者には喜ばれること請け合いでしょう。今回は3時間10分だったのですが、本番では5時間半くらいの歩きとなることでしょう。

 

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愛宕山14.12.8 空谷橋からポンポン山14.12.24 蛭ケ岳14.12.31~15.1.1