京都東山京都一周トレイル(1)’14.9.10 晴

 京都一周トレイル東山コースの道標30-2の蹴上までを歩いてみました。トレイルを何回かにきざんで歩きましょう。まずは東山コースの京阪伏見稲荷駅前の1番道標からスタートします。もちろん、すぐに商売の神様、そして「外国人に人気の日本の観光スポット」調査では、2014年に1位を獲得している伏見稲荷大社です。今日も多くの外国人観光客が押し寄せていました。

         
 京阪伏見稲荷駅前の1番道標    一の鳥居前での外人さん    参道御行道から楼門

 

     
 二の鳥居奥に秀吉が寄進したという楼門{天正17年(1589年)再建}    千本鳥居

 次の画像5枚は写真をクリックしていただければ、説明があります。

 さて、伏見居稲荷大社はいわずと知れた全国に3万社といわれる稲荷神社の総本宮ですが、とりわけ千本鳥居が有名です。そして商売繁盛を願う神であって、いつも多くの参拝者で賑わっていますが、本来は農業神であるといわれています。そのことから稲の外敵の雀を捕食するのが始まりという「雀の焼き鳥屋」もあるとのことです。

 境内にはまず目につくのが立派な大鳥居です。その鳥居はいろいろな様式があるといわれますが、すこしふれてみましょう。まずは一番多くあるといわれる明神鳥居様式と、皇室関係で多く見られる神明鳥居様式、さらにその他の様式と大別されます。
 伏見稲荷大社の鳥居は、その中の明神鳥居様式のひとつで、もっと詳しくは台輪鳥居と言われています。それは島木と柱のと間に台輪というパーツがあるものです。さらにいえば ・台輪があり、額束、くさびがある。 ・笠木に反り増しがあって、二本の柱は転びが共にある。 ・角柱状の貫が両方の柱から出る。などが特徴でしょうか。
 また台輪鳥居は稲荷鳥居ともよばれているようです。なお、本殿は応仁の乱で焼失した後、明応3年(1494年)に五間社流造りの神社建築様式で再建されたといわれます。。

 また、観光スポットとして、千本鳥居から奥社奉拝所の奥に「おもかる石」という石があります。この石は試し石のひとつで、願いを念じて持ち上げた時、重さが予想していたより軽ければ願いが叶い、重ければその願いは叶わないといわれています。是非試して願いを叶えていただきましょう。

 伏見稲荷大社のサイトシーイングはこれくらいにして、先へ進みましょう。おもかる石からさらに奥へ石段を上がれば、三つ辻から四つ辻へ上がって行く途中に岩石が露出しております。これはチャートと呼ばれ、よく見ると幅数センチの板を何枚も重ねたような岩が折りたたんだように屈曲しているのが目につきます。
 チャートといわれるこの硬い岩を見ると、放散虫や海綿など海にすむプランクトンの化石がついているといわれます。今から1億数千万年前(中生代=恐竜が栄えた時代)に、それらの死骸が海底に積もってできた岩石で、京都の三方を囲む山々は大部分がこの地層「丹波帯」の堆積岩でできているといわれます。


画像クリックで拡大

 そして、この四つ辻は最初の好展望台で、京都市街地の上に西山の山並みが大パノラマとなって広がっています。左の天王山から始まって、ポンポン山に小塩山、山上ケ峰に牛松山でしょうか。さらに高いのは京の守護神愛宕山です。それに地蔵山に手前右あたりは左大文字あたりでしょう。

 道標3-3あたりから山の急な下り道が簡易舗装され、ゲートをすぎれば民家が表れてきますから、集団で通る場合は静かに歩くようにしましょう。この後もあちこちで住宅街を歩きますので、賑やかなおしゃべりや覗き見したり、民家の写真撮影などは止めましょう。もちろん、住宅街の方へトイレをお借りするようなことも厳禁でしょう。マナーに配慮し、付近の方々へ迷惑のないようなトレッキングを楽しみたいものです。

 住宅街より森閑とした泉涌寺です。このお寺は皇室とのゆかりが深く「御寺」と呼ばれ、歴代天皇の御陵が造営されています。また観音堂には楊貴妃観音像が祀られています。鬱蒼とした森の中を歩かせていただき、ふと見れば西国三十三ケ所第15番目の今熊野観音寺の名もあがっています。お稲荷さんからここまでずっとなかったトイレ設備はこちらの休憩所にはありますので、万一の場合はお借りしましょう。

 また住宅街を通り抜け、10番から11番道標で京女の森の看板地、ここは標示に惑わされずに素直に左方向の山道を緩やかに登ります。ただ、次の12番道標まで不安になるほどの時間歩くことになります。この12番までの間になぜ途中の標示を立てなかったのか不思議です。でも12番まで分岐もなく、間違いなく進みましょう。
 ようやく12番道標に出合えればこれを右に進んで車道に突き当たり、その後は細かく道標ありのためにしっかり確認しながら18-1番分岐を右折すれば清水寺山頂へ進めるでしょう。その間にはアゲハチョウが地面で何か食べていたのでしょうか、じっとしています。そして植物たちではキノコのシロオニタケが今が盛りで、唯一ヤブラン(ユリ科)の咲き初め、そしてカナムグラ(クワ科)がきれいな葉を広げているのに出会えました。

         
 アゲハチョウ    ヤブラン   清水寺山頂(242.5m)は樹林の中 

 この後は道は迷うようなところもなく、ハイノキ科のシロバイ、クロバイやモチノキ科のタマミズキなどの木を見ながら、東山山頂公園到着でした。ここにもトイレがありました。反対側の展望台で市街地や西山の山並みを眺めながら石のベンチで一本たてましょう。

 展望台の後は青蓮院の飛び地にある青蓮院門跡の「将軍塚青龍殿」です。

 こちらの新しいお堂は平成26年10月8日に落慶いたしました。この建物は大正3年に大正天皇の即位を記念して京都市内の北野天満宮前に建立された総ヒノキ造りの大木造建築「平安道場」を元に、移築再建されたものです。明治期に導入された西洋の技術と日本古来の建築技術を融合させ、500名が収容できる外陣と護摩供を修する内陣、青不動明王をおまつりする奥殿、そして京都を一望できる広大な舞台からなります。京都東山青龍殿落慶記念「国宝青不動御開帳」のパンフより

 青龍殿の展望の舞台を回り込むようにやや急な坂道を下って尊勝院の境内を通過し、粟田神社下から白川小学校横を南下して三条通りに出ます。これより車でうるさい歩道を蹴上30-1番まで進み、信号を二つ渡れば30-2番の蹴上ねじりマンポの本日のゴールでした。

         
三条通りに立つ粟田神社鳥居    ねじりマンポ     トンネル内の煉瓦の張り方に注目!

 ネット上での説明では「ねじりマンポ」とは地下鉄東西線蹴上駅の地上にある歩行者用トンネルとのことです。このトンネルは上からの大きな負荷に耐えられるようにするため、ねじったように斜めにレンガを積んでいます。
 トンネルの上部には「雄観奇想」=(凄い眺め、良い考え)、反対側の揮毫は消えかかって読めませんが、元は「陽気発処」でした。その意は(精神を集中して事に当たれば、どんなむずかしいことでも成し遂げられないことはない)と刻まれた扁額があり、それは粟田焼きで作られているらしいです。その揮毫は第三代京都府知事であった北垣国道とのことです。

 なお、文中の説明は京都一周トレイル委員会の解説を参照させていただきました。

前の伏見桃山から深草より伏見稲荷まではこちら、次の蹴上から北白河仕伏町はこちら                      ホームヘ