加越 越前甲山から大日山 ’15.5.27 晴

 八反滝-巡視路-登山路出合-大日峠-1180P-越前甲山-大日山(往復)

 前日の取立山よりテン泊の東山いこいの森から早朝移動(3:00~4:30)朝食撤収し、八反滝下で工事中による通行止めがあって、少し歩けば八反滝への新しい林道から巡視路入口への滝下まで進もう。ところで、今回の山域の名前はややこしい。

 地形図では越前甲山(越前大日山)等の山名標記はなく、あるのは標高の1319.6mだけだ。また、加賀大日山は地形図では単に大日山(1368m)とあるのみだ。さらに、稜線を歩いていると必ず目に入る加賀甲避難小屋のピークだが、それは加賀と越前の国境稜線上にあるピークで加賀甲(1312m)といわれ、これらのピークを大日山塊と地元の登山者達に呼ばれているようだ。

 このようなことから、今回のレポでは我ら5名が踏んだこの二山を各山頂に標記の「越前甲山」と「大日山」として綴ってみよう。

 まずは道路だ。あまごの宿からさらに舗装路を進むが、これでも国道416号線だ。この道は、本来福井市からこの加越国境を越えて石川県の小松市に通ずる国道なのだが、このすぐ先辺りで行き止まりとなっている。でも大分前から道路工事が続いているようだ。もちろん、今回も大きな重機やダンプが土煙をたてて走り回っていた。

 このようなことから、本来の登山口までは当然マイカーは通行禁止で進入できないのだ。このような理由によって登山者はいろいろな道から登山を開始しているようだが、我らは八反滝下の巡視路から登山開始(5:45)としたのだ。道は滝下よりすぐ右からいきなりの急登が始まる。

 ところで、この「八反滝」だが、白布を八反つないだほどの高さがあるので、このような名で呼ばれるようになったとされる。でも実際の落差は約20mほどで、1反は約12mだから計算が合わない。多分八百や大江戸八百八町のように、『多い』という意味からの名だろう。
 また、看板によれば、滝付近の岩壁は約2000万年も前に形成された火成岩で、越前甲山頂部の火成岩よりずっと古いとのことだ。ところで、ガイドブックによればこの滝一帯は自然林の紅葉に映えるためにいっそう美しいとあるので、機会があれば紅葉時にも再訪したいものである。


八反滝

 巡視路道は北陸電力の電線を見上げながらの歩きが続くがそれなりに急道となっている。でも、あたりにはいろいろな花々が咲き乱れていて、少しも苦にならないすばらしい巡視路である。ラショウモンカズラやサワフタギ(葉先が急に短く尖り、果実の色は藍色に熟し、タンナ・・の葉先は急に尾状にとがり実は藍黒色になる。)が咲き初めで今季初ものに嬉しくなる。
 ヤブデマリ(5弁の装飾花の一つのみ極端に小さい)も清純な花を広げている。サンカヨウも純な花弁をいっぱい見せている。モミジチャルメルソウやナナカマドは終盤だ。ニリンソウの群落も見事であった。そしてニシキゴロモに混じってモモイロキランソウも咲いていた。
 さすがに踏みつけんばかりのカタクリ群落は何度も出現するが果実化が進んでいて、残花はほとんどないのが悔やまれた。それでも皆んなは、これなら稜線に上がれば花は咲いているだろうと期待するのだった。

         
ラショウモンカズラ(シソ科)  サワフタギ(ハイノキ科)  ヤブデマリ(スイカズラ科)  サンカヨウ(メギ科)   モモイロキランソウ(シソ科)

 湿っぽい道歩きの1時間ほどで登山道出合までやってきた。これより本来の登山道はほとんど谷筋歩きだ。これを30分ほどで大日峠まで上がってきたのだ。そこにはツルキンバイの群生だったが、時間が早くまだすぼんでいる。でも下山時には賑やかとなっていることだろう。かたわらにはスミレサイシンが花を広げている。


大日峠

 さて、この峠からわずかに進めば、聞いていた急登があった。でも同好者は元気者揃いで、当方は久々のアップ×2乗であった。道はしっかりしているが、ほとんどフィックスロープが続いているほどの急坂続きだ。結局、八反滝から越前甲山まで2時間半もかかっていた。この間イヤ、大日峠から越前甲山までの途中ではデジの出番は悲しいかな一度もなかった。

     
 越前甲山1319.6m2等三角点  左より取立山、大長山、赤兎山、経ケ岳が並び、少し離れて右に荒島岳  左が大日山1368m

 もちろん、8時過ぎだから山頂には誰も居ない。貸切の越前甲山からの肝心の白山展望は逆光のために写真は撮れなかったのが悔やまれた。が、しかし肉眼では指呼の間のような眺望が楽しめたので感激ものであった。。

 15分ほどの休憩で本日のもうひとつの山頂の大日山へ進もう。こちらは一か所だけわずかな岩場があったが、皆んな素どうりであった。それに小さなアップダウンばかりだから、越前甲山への登りを歩いた身にはそんなに苦もなく進むことができたようで1時間半で頂へ立てた。

 途中には昨日の取立山と同じく、ユキグニミツバツツジ、ムラサキヤシオのツツジやタムシバ、ムシカリにウラジロヨウラクも満開であり、アズキナシ、アオダモ、オオバスノキにブナ(雌雄同株で下向きに咲くのが雄花、上向きが雌花)の花も今日は見られた。

     
 アズキナシ(バラ科) オオバスノキ(ツツジ科)  ブナ(ブナ科)

 もちろん、稜線には残雪もあったりして、樹木花ばかりでなく山野草も見られた。何はともあれ、登り始めの果実ばかりのカタクリが稜線には咲いていました。ハイ、足元いっぱいのカタクリの群落だ。それにチゴユリやユキザサは当然だが、ミドリユキザサ(茎が丸く、稜角のあるのはヒロハユキザサ)までも咲くのが見られラッキ~・・。

     
 カタクリ(ユリ科)は群生ばかり  ユキザサ(ユリ科)  ミドリユキザサ(ユリ科)

 そして、大日山到着だが、眺望も先ほどの越前甲山とほぼ同じであり、白山も逆光ではっきりしない。ただ、淨法寺山に丈競山などの山座同定は忘れてた。頂の憩いもカンカン照りのこのような真夏のような日差しでは昼飯もできないので、ちょっと戻って木陰の下でゆったり食べよう。腰を降ろせばすぐに目の前を中年のアベックが静かに山頂へ通り過ぎて行った。半時間も大休止となっていた。


大日山1368m 三角点無し

 こうして、後はピストンとしよう。帰りの道はさすがに時間はかからない。でも雪渓あたりの下り道正面にはっきりとした白山を見れば皆んながデジとなる。お~すばらしいこれぞ白山だ!と感嘆の声並ぶのだ。


白山正面だ~

 この景色を最後に、歩け歩けの行進であった。足元の花々たちは日がさし、温度上昇で目いっぱいの開花が続いている。でもこれらに目もくれず下山としよう。越前甲山では一本立て、聞きしに勝る大急坂を慎重に降りてようやく大日峠だった。ここでは予想どうりツルキンバイが群落で目いっぱいの花を咲かせており、ミヤマカタバミの紅白も咲き、キクザキイチゲも残花を見せてくれた。

 こうして朝から8時間強で登山口の林道へ14時前に降り立ち、それより半時間の工事中の林道歩きでPへ14時半ころにフィンとした。最後の土埃撒き散らすダンプにすれ違っての林道歩きが一番疲れた時間帯であったのだ。フゥ~
 ご参加の皆さん、二日間お疲れさんどした。

 

 

 本日の軌跡、時間は次のとおり

P5:23-八反滝5:45-巡視路-登山道出合6:43-大日峠7:10-越前甲山8:16~8:31-加賀甲避難小屋からの道の合流点9:53-大日山10:04~10:12-昼食10:15~10:49-越前甲山12:24~12:35-大日峠13:18~13:28-登山口(林道)13:56-P14:24

 今回二日間の歩きの初日(5月26日)に歩いた取立山のレポはこちら

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