比良 細川尾根から武奈ケ岳 '13.6.23  曇り

 細川-P706-北陵-武奈ケ岳-細川越-釣瓶岳-イクワタ峠-地蔵山-横谷峠-畑

 激急登で知られる細川尾根に取りつきます。バス停よりお墓をすぎてT字路(9:00~05)より、いよいよ植林帯を進みます。そして直登道との合流点までがこの時期の名物、ヒルとの戦いでした。この間で足元のズボンに飛び上がったのは4匹、そして合流点で足元チェック時に靴下で1匹の5匹をやっつけました。
 同行者も足が揃って足元へのヒルの早期発見に心がけながらの、この間をスピード歩きで通過しようと半時間もかからないくらいの急行でした。お蔭で二人ともヒルには大事な我らの血を献上することなく、自然林帯に上がれました。合流点以降にはヒルちゃんはみかけないのであたりの緑なす自然林を見渡しながらの歩きを楽しみながら急登を楽しみましょう。見つけてくれた林床のオオバノトンボソウはちらほら見られましたがまだまだ小さな蕾でした。(全画像クリックで説明あります。)

 1時間ほどでP706、ここはお休み処(10:00~10)でイヌシデの森、かすかに樹間より目の前には釣瓶岳手前の支尾根が伸びています。ヤマザクラやイヌシデの独特な幹や若葉を眺めてすぐの急登に向かいましょう。その後よりすぐにゴツゴツ岩石転ぶ地をトラバースし黙々と登って、たびたび深呼吸を繰り返してこれぞ森林浴だ!と森の香りのフィトン・チッドを胸いっぱいに吸い込みながら高みをめざしましょう。あたりにいい香りをふりまいてくれるお花はコアジサイにタンナサワフタギばかりですが、ほどよい歩きのアクセントとなります。

 さらに多数の枝分かれするイヌブナが立ち、その上には二又ブナの大木が待ってくれています。もちろん比良ですからシャクナゲはホンシャクナゲですが大株のものが道沿いに新葉が美しい。大自然のなかに急登道が続きこれぞ登山だぞ!といい気分にさせてくれます。そしてP706からこれまた1時間もしないで尾根の合する大杉地(11:00~05)でした。

 ここまでくれば北陵の稜線、いや武奈はもう近いのが広がってきた空で分かるために気分も上々です。そしてラン科にめっぽう強い同行者がジンバイソウ(神拝草)の葉も見つけてくれましたが、こちらはまだまだ幼い葉で花をつけるには数年かかるのでしょうか。いつか開花に出会いたいものですが・・そうです、テンションも大いに上がってきます。すぐに北陵、すると武奈が飛び込んできました。ここまで誰にも会わなかったのにあの山頂はなんだ!と思わず叫びそうでした。
 そうそう本日の同行者はもちろんラン科だけでなく植物全般にも詳しいのですが、とりわけ野鳥は私の先生として崇めている相手でもあります。今日はこの細川尾根でもアカショウビンのキョロロロ~キョロロロ~と繰りかえし震えるような鳴き声で次第に小さくなる鳴き方の鳥も教えてもらいました。それにアカゲラ、コゲラにキビタキも聞いたのですが、これらは特徴がはっきりせずまだまだ聞かないと同定は容易ではなさそうでした。
 もちろん、ジュウイチやツツドリは独特なためによく聞いて知っているのですが、やっぱり植物と同じで野鳥に対する関心をさらに抱かないと、聞き分けるまでなるにはなかなかでしょうかね・・・先生今後ともよろしく指導願います。

 それでも山頂の三角点にタッチし、すぐ直下に戻ってお昼(11:30~12:00)を広げましょう。しかし、武奈一帯はこの時期には小さな虫がいっぱいで参りました。それに今日ばかりは展望に泣きました。でも梅雨のさなかですから承知しています。今回はこの後横谷峠まで縦走路を北上し、畑バス停までの行程でやってきていたのでそうのんびりしていられません。。

 さらに細川越への道でコハクンボクの開花を見届けるお目当てもまだ残っています。目いっぱいの超満開のタンナサワフタギだけでなく、キュウイの原種であるサルナシも咲き初めで、遠目に見ると白いレースのように見えるといわれる花を下げることで知られるオオバアサガラでしたが、珍しく沢沿いでなく比較的乾燥気味の尾根筋に咲いています。ウメモドキの仲間でもあり、おもしろい名のフウリンウメモドキが小雨に濡れて咲いています。

 そして圧巻は幼木ばかりのコハクウンボクばかりの群生に見飽きたころにありました。残花でしたが多雪の重さで傾いたコハクウンボクの開花をこのコースで初めて見つけました。今年はハクンボクの満開をこの目で確認しましたし、コハクウンボクの開花にも出会え、気分上々で釣瓶岳に向かいましょう。

 細川越から最初のピークあたりで武奈ケ岳とコヤマノ岳を振り返り、足元には細長く葉表にしわのあるのが特徴のレンゲツツジの新葉、ジャムにも使われるコケモモの若い果実にヒカゲノカズラ、マンネンスギなどの大群生を眺めて前方の釣瓶岳を目指しましょう。
 そしてガスにとりつかれた山頂(13:00)には蛇谷から武奈を行きますと単独行の青年が一服しています。こちらは静けさの中の余韻にしたる先客に邪魔しないように言葉少なに先を急ぎましょう。

 直下には雄花のフウリンウメモドキが小雨の雫をつけてたわわに咲き、高木ではっきりしないのですが若い果実を上に向かせてアズキナシの大木が登山道に君臨しています。梅雨のこの時期ですから花時のイワガラミやツルアジサイ(別名ツルデマリ)も随所で見られました。

 釣瓶から分岐のイクワタ峠(13:25)、ここまでには本来なら琵琶湖にリトル比良の山並みが展望できるのですが、今日はかりは真っ白でした。でもこのイクワタ峠からすぐでわずかに雲がきれて今日は行かないのですが、北比良の雄である蛇谷ケ峰が反射板ともども瞬間に見せて喜ばせてくれました。あたりにはまだまだ満開のネジキの真っ白な白花が可愛く並んでぶら下がっていっぱい咲いています。
 ササ峠(14:02)を過ぎるとすぐに林道ですが、その右に登り小さな尾根を行きます。するとすぐに地蔵山到着(14:15~25)です。ここは3等三角点地で正面にはリトル比良の山並みが薄らと顔見世でした。1本たてると3分で地蔵峠、お地蔵さんに手を合わせてから村井への標示を見送り、その前の反対側からリトル比良を見ろします。

 さぁ、最後の峠の横谷峠へさらに北上です。もちろん人の入り少ない山塊で、自然林続く北比良のすばらしい雰囲気いっぱいの稜線歩きがうれしいですね。すると後ろを歩く同行者より「あっ、この木は?」との声で近寄ると木肌からきれいなブナだなぁと過ぎた我が目を疑ってしまいました。

 木肌もよく見ればブナとは異なり、葉の様子も違って、上を見上げるとイヌビワのような若い実がついていますが葉はイヌビワではありません。引き寄せて撮るもどうも思い出せません。やむなく帰宅後調べてみますと、これまで道に色づいた実の落ちたものを拾って、あっ、これはオオウラジロノキの実だなと同定してばかりだったのを思い出しました。というのは幹や葉までの観察経験がなかった樹木だったことが分かりました。
 そうだ、思い出しました。もう少し若いオオウラジロノキ(幹の太さ直径15cmくらい)のものは観察していたのですが、今回は直径40cmは十分ありそうで、高さも15mもありそうな大木は初めてだったことから、オオウラジロノキの特徴である樹皮にクレーター状の落枝痕が目立つことは知っていたのですが、この個体は大木で老木となり、樹皮の落枝痕も消え、樹皮は一部剥がれているほどの大木であったために思い出せなかったのではないかとの忘却原因追究としました。この木の開花時期は5月とありますから、この木の花の開花にも出会ったことのないことから、来年の開花期には花の観察にも再訪してみたいものであります。

 この場所で時間を取られてしまいましたが、それでも時計を見ると、おっ、これなら畑のバスにうまく乗れるのではと考え、栗拾いをした覚えのあるすぐの横谷峠(15:00)は何も考えずに右折し、尾根をどんどん降って車道の正面のゲートを開け閉めして草叢の農道を縫って、畑の棚田を横目に集落から降ってバス停到着(15:50~16:09)で、バスを待つこととなりました。

ホームヘ