比良 キタダカ道から蓬莱山 '13.2.12 曇り時々晴れ

 JR志賀駅-木戸-キタダカ道-天狗杉-クロトノハゲ-打見山-蓬莱山-小女郎ケ池-ホッケ山-権現山-霊仙山-Ntt中継所-栗原バス停

 先月13日は平から蓬莱山に登ってキタダカ道への縦走予定で歩いたのですが、当日が日曜日でもあって蓬莱山から打見山近辺におけるスキーヤー、ボーダーはたまたキッズコーナーの人混みを見て、気分的にも登山の気持ちが萎えてしまい、人の動きにつられてゴンドラ下山となってしまったのでした。

 そんなことから、やっぱり登山口から下山口まできっちり歩かないととの気持ちが残ってしまいました。予報をみてそうだリベンジだと出立です。。しかし、同じ平からのコース取りでは芸がないと思い、久方のキタダカ道の登りとしました。
 netでご覧いただいてもお分かりのように、この道はほとんどの方が下りとして使われているようで、登りのレポは簡単には見つかりません。さらに今回の下りには平ではなく、栗原バス停を下山口としたのであります。

 
東北東側の打見山スロープから望む蓬莱山スキー場

 ただ、今日は夕方より降雨の予報が出ています。そんなことから夕方の雨までに下山しようと、JR志賀駅をまだ夜が明けきらない6:45の歩きだしでした。さぁ、心配は雪がたっぷりあるかです。今年は積雪がここ2~3年にしては少ないように感じます。昨年の暮れから今まででも、雪多すぎて歩けなかった山歩きはありません。でも今日は先日あたりの寒気によって少しは降ってくれているでしょうか。

 木戸集落にある樹下神社で安全の祈願に頭を垂れた後は右折して、右にきれいに整地された棚田を見ながら進むと、林道入口には登山口の道標がキタダカ道へ導いてくれます。そして林道から最初の大川にかかる大堰堤までくると雪がつきだしました。
 そして脇山橋を渡るとゴンドラ山麓駅方面からの林道と合わせます。さらに二つ目のデカイ堰堤あたりになると一層雪は増えてきます。この最後の堰堤ではいつも気がつく、パイオニアツリーの樹種ともいわれるハンノキ(カバノキ科)がもう花を咲かせています。
 さらにこのあたりには、他にシキミも花を咲かすはずですが、こちらは切られてしまったのでしょうか?、見当たりませんでした。

 
 ハンノキ(カバノキ科)

 そして駅から1時間以上も歩いたので、もうそろそろ天狗杉も出てくるだろう。と思いつつ増えてきた足元の雪に気を取られながら綴ら折れの道で少しずつ標高を上げます。でも、なかなか大きな杉の地にまではまだまだのようです。さらさらの新雪ですからアイゼンは要りません。でも膝くらいは十分あるでしょうか。そろそろスノーシューを着けようか。などと思いながら進みます。

 そしてようやく1時間半ほどで天狗杉地到着でした。ここで初めての休憩(8:12~20)としましょう。早速シューをつけます。天狗杉といっても何も標示板らしきものはありません。でも森の大王らしく堂々として空へ向かって伸びあがっています。長い間の人間模様をここで見つめているのでしょう。樹齢も何年経つのでしょうか・・・?(拡大画像は画像をクリック!)

 さぁ、足元が歩きやすくなりました。ここまで杉の植林帯がほとんど続いていましたが、この天狗杉の場所よりすぐに杉の人工林からいろいろな樹種の天然林へと変化してきました。木々の樹間から光も指し始め、すでに青空も出て木漏れ日の雪面がきれいなアート模様を見せてくれます。
 同時に、積雪量も増え、トレースらしき跡以外に足を置くと、足がズボっと雪にとられるようになります。でももちろん、気持ちよくこれぞ青空の元でのスノーシュー歩きです。いいですね~楽しいですね~ルンルンで~す・・・。

 そうはいっても次第に多くなる足元の雪にそろそろ閉口するような歩きとなります。もちろんこのあたりまで上がって来ると雪が多くなっているためにトレースは完全に消えてありません。でも地形図を広げ方角を読みましょう。そしてなんとか黒っぽい岩の出ているクロトノハゲ到着(8:52~55)となりました。

 地蔵さんが祀られています。山旅の安全を 守っていただける山の神の道祖神ではないでしょうか。バックにはしっかり冠雪の頭は日が当たって輝いており、思わずう~ん、すばらしい絶景だねと大満足です。このような景色を従えた道祖神は立派に安全の役目を果たして頂けることでしょう。
 ところでクロトノハゲって名前の謂われはどうなんでしょうか?、なかなかはっきりとした書き物は見当りませんが、どうやらクロトノハゲのクロトとは黒砥であって、古のころに砥石を掘り出していた地のようです。なお、地蔵さんの後ろの山並みは、右から堂満岳、烏谷山に小枝の向こうは比良岳です。そしてその比良岳の左によく見ると頭を見せているのは白滝山でしょうか。

 この花崗岩の地のクロトノハゲから先も道が埋まってしまい、はっきりとしません。というよりさっぱり道はないに等しい状態となっています。分岐の道標は雪の中でしょうか?、たしか木戸峠と打見山への分岐を知らせてくれていたはずですが雪に埋まっているとみえ見えません。でも、これも何とか読み切って打見山直下の寺屋敷、天心苑方向への道標地の分岐に到着(9:10)です。
 ここでゴンドラ下をくぐるトラバース道は昨年も歩いていましたので、今日は打見山へ直登の探索としようとのことで、山上の建物目がけてケ-ブル沿いに這い上がります。するとすぐにボーダー達で賑わう私にとっては異次元の世界の打見山(9:20)でした。

 
  この時点では蓬莱も見事

 山頂で休む気にもなれずにすぐに笹平へ下って、今度は蓬莱山へスキー場の東側へりを歩かせてもらいましょう。先ほどまで青空も広がっていたのですが、蓬莱山が近づくにしたがってあたりは真っ白になりかけてきました。
 どうにか1等三角点にタッチ(9:50)で挨拶を終えますが、周りはガスが濃くなってしまい、そばのリフト小屋でもぼんやりする始末です。もちろん武奈ケ岳などの景色は皆無でした。こんな山頂にいても仕方ないでしょうとすぐに小女郎ケ池方面へ向かいましょう。

蓬莱山1173.9m1等三角点 三角点地から見るリフト小屋

 これよりシューの駆け下りが始まります。サクサクと10分も降ると、やっ、これはいけない!、まったくのホワイトアウト状態となってしまった(10:05)のでした。ここで考えました。まわりの見えなくなったこんな有様で権現方面へ行ってもなんの楽しみもないでしょう。イヤ、でもこの状態での地図読み前進の楽しみもあるでしょう!、と心は迷うばかりでした。

 
 真っ白になる直前の様子で
さらにガス濃くなったが写真を
撮るほど余裕がなくなってきた。

 さて、みなさんであれば次の内のどんな行動をされるのでしょうか?。さぁ、この後に私の取った行動は・・・?、はたして遭難したのでしょうか、それとも断念してとぼとぼと引き下がったのでしょうか?(笑)

① 蓬莱山から降って来た道だが、もう一度登りかえして、打見山からキタダカ道を降ってとぼとぼと情けなく、志賀駅まで帰るか・・ 
② そのまま前進を強行、地図読み山行を楽しもう。でも万一のルートロストは夕方からさらに天候が崩れる予報だが・・
③ 下山側から最初の二つの地蔵さんまでも降りていない地で、北西からの吹きさらしの寒いここで天候の回復の様子をしばらくみてから判断するか・・
④ 山頂から10分ほど降ったくらいで、山頂へはすぐのために引き換えし、山の神休憩所で寒さを避けながら天候の様子を見た後に判断するか・・

 もちろん、この日も私はツエルトや細引きにサバイバルシートはもちろん、コンロ、行動食に非常食、それに防寒具はしっかりザックに入っています。でも寒さの中で無駄な時を過ごすことは後々でダメージとなります。紆余曲折の心中ではありましたが、私の選んだ道は④でした。
 時間的にも山頂のこの位置は人の姿、ゴンドラなどほとんど危機は考えられません。そんなことから②もよほど頭をもたげましたが、無謀はよそうと心は冷静な判断が勝ってくれました。

 山頂に登り返して山の神休憩所へ行くと、しまった、入口ドア前まで雪がびっしり、それも凍てついておりピッケルもスコップも持参していませんので戸を開くことすらできません。アイゼンやシューで除雪を試みましたが、こちらの器具が壊れそうなほど氷っているのでした。
 これには計算違いでしたが、建物屋根下にうまく雪の壁の間が出来ており、そこで昼食を取りながら天候状況を見ることとしたのでした。(10:15~45)

 さすがに食事中もなかなか心静かにのんびりとはいかない状態でしたが寒さをしのぐことはできました。が、しか~し、30分ほど経ったころでしょうか、凝視していた武奈西南稜の真白き白銀が見えだしてきたのです。もちろんすぐ下の打見山のゲレンデは一気にほとんど見え出してきたのでした。
 すぐに再出発、さぁ、予定どうりの縦走に入ろうと進みます。自らのトレースの迷いは見るからにおもしろいものでした。人間の心理って・・・?

この景色が見えた時には思わず
バンザ~イと叫びたい気持ち
で・し・た・・
山の神休憩所から
見下ろす打見山も
よく見えますネ~

 小女郎ケ池までのシューの軽快な運びは最高の楽しさです。誰もいないまっさらな平原を好き放題のコースどりで歩けることが愉快な原因ではないでしょうか。もちろん小女郎峠など降りません。手前1101P方向から直に池前の説明板(11:04)へ下ります。

 そして峠にも引き返さずに峠手前の右方向の高みへ登って稜線に出ましょう。ここまで上がれば雄大な琵琶湖の眺めが楽しめると思っていたのですが、そう何もかも上手く事は運びません。琵琶湖はやはりこのお天気ではぼんやりとしか見渡せませんでした。でも南方向のホッケ山はきれいに見せてくれたのでした。ホッケの手前の雪庇はいつもなら見事なのですが、さて今日は如何なものでしょうか。

 印ばかりの雪庇を見ながらホッケ山山頂(11:27~30)でしたが、いつものように山頂は風に吹き飛ばされて雪はないも同然です。周りは北山の皆子山は見えるのですが峰床に鎌倉はぼんやりでした。振り返るともう蓬莱山あたりに雲がついています。それでも南寄りを覗くと権現山に霊仙山がくっきりと見えています。

 ところが直下に上がってくる人の姿が二人見え出してきました。え~、今日は平日、全行程を無人状態で歩きたかったのにとの残念さが湧いてはきたのですがやむを得ません。「どっから上がって来たの?」、「平からです。」との言葉を交わしてとっとと降ります。そうか権現山からは新雪を蹴って歩けるのだとほくそ笑みながら、まばらな樹林下を気ままにきれいな雪を踏みます。

 権現が近づく尾根頭に上がって振り向くとホッケ山の左奥に白く輝く蓬莱山が見送ってくれていました。また東側の琵琶湖に浮かぶ奥島もなんとか見えるようになっています。すぐに権現山(11:50~12:05)です。時計を覗くとバス時刻には十分ゆとりもあります。ここでようやく行動食タイムです、パンにチーズに納豆と満腹で、最後にホットでも飲もう。

権現尾根頭から振り返り 同じく尾根頭より琵琶湖 権現山山頂996m

 この頂に来てようやく展望が出てきました。北山の皆子山に峰床山などの面々もはっきりしています。でもさすがに愛宕山は肉眼でもわずかしか見えませんでした。眼下にはこれから向かう霊仙山が黒く頭を上げています。

権現山からの左皆子山に右峰床山 霊仙山が待っている

 さぁ、予定どうり最後のピークを片づけようと腰を上げます。ところがこの下りには要注意なほどの激急坂ですが、そうはいっても短い道のりですからそうビビることもないでしょう。足元のシューをそのままに下って行きますが、次第に雪が減ると岩交じりの道となって歩き難い状態でした。20分ばかりでズゴノバン(12:26)です。今はこの地もその名の標示も下がってなく、ズゴノバンの名も消えいく運命となるのでしょうか。

 ここズゴノバンを左へ降りると栗原方向への近道ですが、今日は最後のピークである霊仙山を目指します。ここを右側に回り込んで赤布つく霊仙方向に入りましょう。5分も歩けばミズナラ、カエデにブナなどの落葉広葉樹の立つ雰囲気のいい場所もあります。
 しかし、この山の傾斜は結構きついのは東側だけでなく、北側の登山ルートも同じでした。フウフウいいながらなんとか3等三角点の750.5m霊仙山(12:53~13:00)でした。山頂はわずかに東側が切り開かれて小さく展望があります。権現から打見山までの頭たちや琵琶湖の北側に薄らと雪をいただく伊吹山も今日初めて確認でき、あそこへ1月末に登ったのだなぁと感慨にふけるのでした。

 そして最後の下り道もシューはそのままで岩交じりの歩き難い急坂を地図の50分とのことで、休むのもそこそこに歩き出したのですが、Nttアンテナ地へは13:20に下山となり、バス時刻からゆったり装備の後片づけをするのでした。足元も軽くなったのでしたが、今度は肩の荷が重くなってしまいます。舗装路を降って今は駐車地手前には鎖ゲートが設置されていましたので、マイカーはアンテナ地までは入れなくなっています。
 ここ駐車場地でザックをデポしてすぐ上の水場でしっかり喉を潤わせます。その後はずっと舗装路を25分降って栗原バス停に到着(14:10~38)で、7時間半歩きの一日でした。

 今回は結果的には縦走が楽しめましたが、途中蓬莱直下あたりからのホワイトアウト状態にはヒヤッとさせられ、おっ、これは大変なことになるのではと一時心配しましたが冷静な判断によって、それにうまくガスの状態悪化が長続きせずに晴れあがってくれましたから、難を逃れることができました。やはりおかしいなと思った時点で勇気ある撤退を熟慮するのが一番かなとの思いでした。

本日の縦走の軌跡は↓のとうりです。

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