余呉 山門水源の森から東ケ谷山 '13.2.10 曇り時々小雪

 山門湿原-展望台-ブナの森-中央分水嶺-東ケ谷山-大浦峠-山中牧場林道-県道

 今年最初の余呉トレイル中央分水嶺におけるスノーシュー遊びでした。雪不足が続く今冬ですがなんとか前日までに降雪あって、どうにか歩き始めの最初(10:10)から最後(15:28)までシューを外すことはなく、ほどほどの遊びとなったのでした。

 花の山門水源のすばらしさは十分承知しているのですが、新雪の中を進む水源の森にも心弾みます。多くの人たちのお世話によってこの森が守られていることに大きな感謝で、入山料もしっかり納めて、さぁ、歩かせてもらいましょう。

 まずは南部湿原すぐ上の展望台手前から本日の高みである東ケ谷山の頭を眺めましょう。

 眼下のこの湿原にはミツガシワという氷河時代の遺物といわれる大変貴重な植物の咲く湿原として生育地保護区に指定されていますが、今は真白き雪原が広がっています。とにかく山野草や樹木などいろいろ楽しめるシーズンにも、もっと足を運びたいものです。

 この後はブナの森へ登り上げます。この道にはアカガシが散在していますが、ブナ科コナラ属の常緑樹の仲間では私的な経験ではアラカシとともに、このアカガシが一番目にしやすい種であろうと常々思っています。
 一番の見分け方として、葉の回りにギザギザ(鋸歯)がほとんどないのが特徴と知ればすぐに分かります。常緑樹のカシの仲間にはその他にも多数ありますので、スノーシュー歩きの中での楽しみとして、それらに関心を持って、その違いを探しながら雪原の山地を歩きまわるのも、さらに楽しい雪の中のトレッキングとして楽しめることでしょう。。(拡大画像は画像をクリック!)

アカガシ アカガシ鬱蒼と

 そして次第に標高を稼ぐといよいよイヌブナがまず出てきます。特徴はほとんどが株立ちしています。そして木肌の樹皮にいぼ状の皮目が目立ち、ブナより肌がきれいとはいえません。細かくはその他にもいろいろな相違点があります。
 それに対してブナの樹皮はほんとうに白くて美しく、山歩きの方々には惚れられている樹木として有名です。イヌブナの別名クロブナに対してシロブナあるいは本ブナとの名を持つ所以でもあります。

 さらに進むと守護岩あたりの広場に着いたのでしょうか。一本たてようとの声であたりを見渡しますと、珍しくクマシデと樹名札がかけられています。このカバノキ科クマシデの仲間にもいろいろあります。葉のある時期であれば、すぐに同定しやすいのですが、落葉している雪の頃には、樹皮にこれといった特徴が目立たないために、なかなか同定に苦労する木でもあります。
 そばには樹名札がつけられていない同じ仲間のイヌシデが立っていました。ところがこちらは札がなくてもすぐに樹皮の模様により、ある程度の植物知識さえある人なら同定できるということで、この木には樹名札すらもないのでしょう。

クマシデ イヌシデ

 この山域にはシロモジの多いことも知っています。もちろん、ここまでにクロモジも見られたのですが、シロモジはややクロモジよりも樹高が高く、でも高いといっても2~3mくらいなのですが、今日の積雪くらいならクロモジは埋まりかけて、シロモジの方が多く目につきます。
 こちらはクスノキ科クロモジ属の仲間ですが、冬芽の姿がユニークで細長く尖っているのが、葉芽で、丸いのが花芽です。しかしその相違点はこの冬芽では容易でなく、樹皮を見れば一目瞭然でしょう。そしてさらなる特徴には枯葉が長く残り易いこともシロモジの見分け方のひとつでしょうか。

 もちろん、歩き始めると常緑樹のソヨゴも多くありましたが、さすがにこの時期には赤い実はすっかり食べられてしまったようで見当たりません。そして葉で分かるシロダモ、冬芽で判明のマルバマンサクに樹皮や冬芽などで分かるウリカエデなどを見ながら歩きます。そして樹名札のかかっていたヤマナラシはヤナギ科と聴いて、え~柳ですか?との声も出ましたが、昔はポプラの名で親しまれていたものです。というと案外ご存じの方もありました。また樹皮には菱形の皮目が目立つのも特徴です。ついでにもうひとつ、昔はこの木から箱を作ったということでハコヤナギという別名も持っています。

 くどいですね、樹木など植物の話をすればもう止まりません。そう、好きなんです!、でも、多くの方々と一緒に歩いているために、すべての冬芽や樹皮の画像を得たかったのですがそう身勝手なことならずに、やっぱり植物層豊かな山地や森を歩くのは単独だなとの思いもおきるのでした。(笑)

 地図上での山門水源の森分岐は中央分水嶺です。ここの広場で昼食としましょう。いつもの余呉トレイル弁当のうま味はぴか一であるのも当然、山歩きに耐えられるだけのボリュームもたっぷりで、短い休憩タイムでは食べきれないほどであり、みなさん満足の笑顔がいつも並びます。(11:57~12:25)

 杉やヒノキの植林帯をもぐったり、短い急坂を登ったりすれば、あの白い頭は岩籠山だろうかとの声もあり、ちらっと見えるが小枝がうるさく、写真には耐えないのが残念です。今日はそう展望は満足とはならなかったのですが、なにせ低山歩きですから致し方のない山歩きでしょうか。

 でも、お~、あの稜線のピークの左か右どちらだろう?、我らが目指す東ケ谷山の頭は・・・、どうやら東側(左)の頭が今日の高みであることも判明し、やれやれあそこまでも行くのかとの気持ちであったのでした。
もちろん、すばらしい風景ばかりではありません、時に雪をいっぱいつけたヒノキの植林下は雪の爆弾を注意しながら腰をかがめて歩く必要があります。

 そして達筆で記された山名札が埋まった木で傾いていました。もちろん三角点も埋まっているようです。点標総見山ともよばれている東ケ谷山657.5m山頂へ到着です。妙理山は見えるのですが、なかなか雲低く横山岳や大黒山などは姿は出してくれません。しばしの頂の憩いで賑やかです。(13:22~13:35)

 さぁ、この後は余呉トレイル中央分水嶺の南の終端である大浦峠へ向けて南下しましょう。でも次第に南方向へ標高を下げるために、雪が少なくなって藪化してきます。下りのシューの楽しみの駆け下りをやりたいところですが、藪多しとのことでままなりません。途中の関電鉄塔下で小休止しましょう。鉄塔下から見上げるとなんと今日は珍しい、見事な青空パチリでした。

 古道の雰囲気残す大浦峠あたりはほとんど廃道化しているようです。降りだしてすぐに灰色の冬景色に鮮やかな黄緑色が生えて冬の風物詩、と言われているウスタビガの繭が木についていました。このウスタビガは秋に羽化し、本種は卵で越冬します。成虫よりこちらの繭の方が有名です。
 今の時期は繭は抜け殻で空のようです。そして画像をよ~く見ていただくと下部に黒っぽい穴が見えますが、繭の中に溜まる雨水を抜くための穴のようです。主にクヌギ,コナラ,サクラの木で見かけるようですが、今回は木まで目がいきませんでした。というよりこの画像からして木が細くて同定は容易ではなさそうです。

大浦峠 ウスタビガの繭

 順調に上の峠まで降りてきたのですが、この峠以降がやや急坂となって一同手間取ります。それでもシューに慣れきっている皆さんは無事に山中牧場下部の平原地帯の林道へ下山でした。そしてその後林道歩きにどんどんスピード上げるトレッカー達は、半時間ほどで県道で待つ送迎バスに到着となったのでした。

 なお、同行のNさんに下記のような時間記録と歩いた軌跡をいただきました。いつもありがとうございます。

<時間記録>
山門水源の森入口10:10-南部湿原11:04-山門水源の森最高峰11:43 - 昼食11:57~12:25-東ヶ谷山13:22~13:35-鉄塔13:59~ 14:08- 大浦越14:19-林道15:00-車道15:28

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