山中湖北  北尾根から杓子山   '12.5.18前夜発日帰り

 

富士急寿駅-明見根元神社-向原峠上-北尾根-杓子山-鹿留山-立ノ塚峠-二十曲峠-内野=富士急富士山駅 

 四度目の杓子山の今回のお目当ては希少種のキスミレを見たいとのことでした。でもやや遅きに失したかなと承知したうえでの日程でしたが、天気予報が雨となってしまい当初のテント縦走から日帰りに変更を余儀なくされた点では残念でした。

 しかし、行ってみれば雨上がりであることがはっきり分かるほど、木々や足元が濡れているのを見て、変更は正解だったのかなぁと変な納得をしてしまいました。そしてお目当てのキスミレにも出会え、さらに後半には富士山も顔みせがあって満足の旅となったのでした。

 富士急寿駅からスタート(9:00)です。向原の集落内は小道が多くあって分かりずらいのですが、なんとか明日見根元神社手前の管からとうとう流れ出る「幸せの水」場について空容器に水分補給です。さぁ、この後はいつもながら急登の始まりです。
 ホソバテンナンショウ咲き、ヤブレガサの群生を見て元気をもらって、今回は向原峠へは向かわず、反対の右への分岐から直登し、5分で向原からの険路で知られる杓子山北尾根本線に合流します。するとすぐに岩混じりの道の繰り返しとなってきだします。

     

 でも時にはこんな新緑の中、まさに薫風かおるすばらしい山道も出てきてくれます。もちろん緑色のなかにパッと華やぐトウゴクミツバツツジも顔見世です。少し先にはやや色合いの淡いほんとうのミツバツツジも満開で見せてくれます。もちろんそれぞれ花弁を手に取ってそれらの相違点を確認しながら歩きます。そう「違いが分かる」私なんです〜笑

     
 雄しべが10本、花の色合いはやや濃い   雄しべが5本 (こちらはミツバツツジ)

 もちろん他にも花柱、子房、雄しべの基部の毛の有無や花柄、葉柄への毛の有無などの区分点もありますが、いち早く相違点を見るにはこのように雄しべの数を見ることが一番でしょう。

 こんな処(↓左が画像)に身をおいて、あたりかまわずマイズルソウの開花スタンバイが広がり、また小指の高さもない可愛いフデリンドウが咲き初めの前でお昼となりました。このような森の中に身をおくと、樹木や土の香り、鳥のさえずり、揺れる木漏れ日などで気分スッキリ爽快で、苦しかった登りの辛さをすっかり忘れさせてくれます。

     
 1410m付近で昼食(11:00~30)    ブナばかりかイヌブナの新緑も

 さぁ、腰をあげてまた急登に向かいます。麓にあった明日見根元神社奥宮の下20m左の標識です。ちょっと休憩がてらお参りしてきましょう。しかし、まぁ、こんなところに立派な祠をよくも祀られましたネ。最後までの安全を祈願します。

 やせ尾根はまだまだ続いています。ゆっくり慎重に歩を進めます。もちろんここまで誰にも出会いません。というよりこのコースでこれまで人には出会ったことはなく、それが歩く要因でもあります。

     

 静かな新緑の森が続いています。あれこれ思わず無心の境地で岩場付近に上がってくると、これまでここのルートで覚えのないアカバナヒメイワカガミが待ってくれていました。やった〜、金峰山で会って以来の久しぶりの再会でした。この種は、母種がヒメイワカガミといい白色ですが、赤いのでこう名がついています。特に葉の鋸歯が極めて少なく荒く見えるところが、普通のイワカガミと異なるところです。

 すぐ上の西尾根別れ付近で前回見たユキザサの群落を探しながら歩きましたが、すっかり見当たりません。どうしたのでしょうか?、ここは山頂からすぐのところですからこのルートを下らない人でもユキザサの群生を知っておれば・・ひょっとして誰かが引っこ抜いてしまったのでしょうか・・?、イヤそんなことはないでしょう。???

 すると空が樹林の中に見えてきて杓子山頂上(12:15~40)(1597.6m)です。誰も居なく貸切でした。山頂の小さな祠に何事もなく登頂成功を感謝して頭を垂れます。しかし、残念なことに富士山の頭には雲がついているではありませんか・・泣、でも東の方面はきれいに晴れわたっています。もちろん名物の山頂の鐘を鳴らしました。

 

 山頂では黄色い可愛いお花がいっぱい咲いています。よ〜く見るとツルキンバイでしょうか。フジザクラにバッコウヤナギでしょうか、それぞれもう終盤でした。そして立派に成長しているヒロハツリバナはいっぱいの蕾を下げて風に揺られています。直径10cmはあろうかという木の肌は登ってきた人があっ、この木は何?、と木肌を何かで削るのでしょうか?、、たくさんの削り後がついて肌には緑色が見えています。多分花の咲いていない頃の仕業でしょうか。長いひものような葉柄にぶら下がって咲くお花を見れば容易に見分けがつくはずなんですが・・

 さぁ、下へ咲いているはずのアケボノスミレやエイザンスミレを見てみようと少し降りて見るのですが、残念ながら完全に終わってしまっていました。しまったキスミレも終わってしまっているのだろうかとにわかに心配になってきます。
 すぐに山頂にとってかえして鹿留山方面に向かいます。この稜線以降は初めてのコース、なにやら長いテープがあちこちにぶら下がっているではないですか。手にとってみるとURTRA-TRAIL Mt.FUJIと書いてあります。すると反対側からやってきた青年が、もうすぐ選手がやってきますから注意されるようにとのことでしたが、聞けばまだまだ時間がありそうですから予定どおりのんびり十二曲峠まで花巡りができそうです。

帰宅後調べると次のようにありました。

 ウルトラトレイル・マウントフジは距離156km、累積標高8500m、地元2県10市町村の協力により開催される日本初の100マイルトレイルレース。世界最高峰ウルトラトレイル・ デュ・モンブランとウルトラトレイルの精神を共有する世界初の姉妹大会です。

 どうりでこの後も多数のスタッフのみなさんにもお会いしましたが、無事に事故もなく終了したことと思います。さて、本題に戻ってお目当てのキスミレ登場です。咲いていました。もちろんやや終盤でしたが、でもまだまだ見せてくれました。このキスミレはこれまでも九州では見ているのですが、本州では初見でした。一人っきりでお花と対話しながら見惚れていました。感動しましたね〜直前の勉強これあって特徴などつぶさに観察しますが、図鑑の解説どおりのお花にはびっくりしながらでした。

 この稜線には他にもエイザンスミレはもとより、いっぱいのタチツボスミレが咲き、タチカメバソウ、ワチガイソウ、フデリンドウが咲き誇り、ヤブレガサやバイケイソウの大群生も見られました。40分もかけて子ノ神(13:20)でしたが、十分満足の花歩きとなりました。ただ、残念だったのは寒波の関係から北風の強風にお花の撮影には泣きました。
 そしてこれまた杓子山と同じく3等三角点埋まる鹿留山(1632.1m)往復も10分で済ませました。念願の鹿留山(13:30~35)でしたが、うわさのミズナラとブナの大木が山頂に立っていましたが、ミズナラにワチガイソウが咲いているのをnetで調べていましたので探しましたが、今年はどうやら咲いていませんでした。

 さて、子ノ神まで引き返してからすぐが少々やっかいな岩場の下りでした。こちらはなんなく降りられたのですが、この後にくるランナー達は泣くことにならないのであろうかと余計な心配をしながらの道でした。この先には富士の見晴しのきくところもあり、またエイザンスミレやキスミレも見られるなどいろいろと楽しめました。

 賑やかな声がするなと思うとウルトラトレイルのスタッフたちでした。立ノ塚峠です、この先にもまたすばらしい富士のビューポイントもあります。でもまだ少し雲が離れていません。

     
 子ノ神下の見晴台より    立ノ塚峠先の展望台より

 立ノ塚峠からは先ほどと違って草原の広い道が続いてからは次第に山道となるルンルン歩きのトレイルとなります。道脇にはアケビが随所に木にからんで雌花雄花がぶら下がっているのを見たり、ツルキンバイでなくこんどはミツバツチグリやキジムシロの黄色の鮮やかなお花が可愛く、マムシグサなどもあちこちで見られ、シロバナエンレイソウも咲いています。

 このようにして花巡りをしながらそろそろ十二曲峠だろうと歩くとまたしても富士展望がすばらしく、やっと峠、そこにはウルトラトレイルのスタッフたちがテントを張って救護所として準備に追われ、また見物者もいるなど車が多く駐車し、何事かとの様相です。
 もちろん、この十二曲峠も富士山展望地として名高い地です。お〜すばらしい!、でも残念時間的に逆光ですっきり撮れません。

     
 十二曲峠手前より    十二曲峠展望台より

 この後は内野まで車道を約1時間は歩かなくてはなりません。当初の予定ではゆっくりのんびりこの峠へ18時ころについて、帰京のバス時刻に合わせて暗くなってから内野へ下山しょうと出てきてたのですが、杓子山山頂手前でつけていた熊よけカウベルが木の枝ににひっかかったようで、ちぎれて無くなっているのに気がつく始末で、もうどこで無くなったのか分からず杓子山山頂で断念したことから、やばい!峠から暗い夜道は車道といえども熊のいる山塊のために早めに下ろうとの変更でした。

 ところがよくしたもので、まだ明るい植林帯の車道歩きとなったことから、またまたシロバナエンレイソウを見られたり、うれしいことには植物園でしか見たことのないレンプクソウが自然の中で咲いているのを発見できたのでした。これにはキスミレ以上に感激したのは無理もありません。なにせ自然の中で咲くのは初見なのですから・・

 
 レンプクソウ(レンプクソウ科)

 レンプクソウは近畿地方以北に分布し、花は横に4個と上部に1個がつきます。昔、この草の地下茎がフクジュソウと繋がっているのを見た人がつけた名と謂われているようで、別名のゴリンバナは花が5個集まってつくことによるようです。そして内野のバス停近くの天狗社に到着したのは17:00と超のんびり歩きでした。

 では本日他に見られたお花たちをご覧願います。他にマルバスミレ、スミレ、シハイスミレなども咲くようですが、スミレ類は私が来るのが遅かったのでしょうか、まったく見当たりませんでした。また比較的珍しいキンポウゲ科のオキナグサも咲くとのことですが、少し早かったのかも知れません。以下すべて画像クリックで拡大画像で見れます。

ツルキンバイ ミツバツチグリ ミツバツチグリの萼片 キジムシロ エイザンスミレ
エイザンスミレ エイザンスミレ アカネスミレ アカネスミレの距 アカネスミレの葉
ニョイスミレ フデリンドウ アケボノスミレ タチカメバソウ ワチガイソウ
シロバナエンレイソウ チゴユリ ホソバテンナンショウ ホソバテンナンショウ ミミガタテンナンショウ
ミミガタテンナンショウ マムシグサ マムシグサ フジザクラ フジザクラの萼頭
クサボケ

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