京都北山 裏愛宕六山縦走 ’15.5.31 曇りのち晴れ

 清滝-表参道-愛宕山-芦見谷-竜ヶ岳-滝谷-反射板-地蔵山-芦見峠-三頭山-水路跡-竜の小屋-朝日峯-峰山-西明寺

 今回は夏山のアルプストレーニングとしてロング縦走を行った。それにしてもこのコースは9年ぶりのような気がする、というより全くの忘却の彼方でほとんど記憶になく行った記録があるのが9年ぶりなのだ。それに芦見峠の先の三頭山から戻って水路跡の道途中には土砂崩れによる道消滅がきつく、以前の経験ではこれだけこの道が荒れている状態はなかったのだが、現在は少々冒険心も必要地点が発生していた。それにしてもトータル的に林道歩きが相当あり、決して薦める山歩きではないことを断っておきたい。

 まずは踏んだ六座の山頂の様子をご覧いただこう。 

 ①愛宕山は神社が祀られ、ストーブ小屋前の温度計は13.5度とひんやりしていた。また、3等三角点(890.5m)は山頂の神社より北北東にある。山頂は大木の杉木立で囲われているが、三角点地は比良山系から京都市街の展望が得られる。
 今回三角点地はパスして芦見谷を降ろう。これまでからこの時期ならツリバナ、ウスギヨウラクやゴマギにヤブデマリが見られたのだが、今年はみなすっかり終わって花は何も目に入らなかった。そしてすぐに元気に流れ出る水場でボトルへ給水だ。このあとも一か所あるため多く担ぐ必要はない。
 竜登口から急坂の東尾根を25分で登ると、山頂には5名の学生がデカザックをころばせて駄弁っていた。聞けば廃村田尻でテン泊しウジウジ谷の裏参道を登ってきたらしい。頭の上には完全に終わったカマツカが哀れな姿をさらしている。いつもならドウダンツツジがきれいなハズだがと探すも全く花の姿はない。

 ②竜ヶ岳のみ三角点はなく、展望もほとんどないが、よく見れば北の地蔵山に南の愛宕に東の比叡山を見ることは可能だ。5分も休まず滝谷へ向おう。ところがこの谷筋でもヤブデマリはほぼ終わっており、これまでの縦走時には、きれいに咲く景色が脳裏にあるだけに期待外れは悲しい。
 その下のヤマグルマもこの時期なら花時なのだが、ここでの開花に出会ったことはない。多分まだ若木なのだろうか。でも、その下で初めてここでツルアジサイ(ツルデマリ)の咲き初め花が風に揺れていたのには感動ものだったが、またもピンボケだった。ずっと同じような足元不安定な急坂を降って、きれいな沢の流の滝谷である。ここは元旦にも昼食鍋を楽しんだお気に入りの地だ。
 滝谷を遡上してから、こんどは反射板地へ向けてロープ頼りに休みやすみ上がれば風の通り道の反射板があるが、このあたりからの愛宕に地蔵山の見晴しが邪魔する樹木で冬期とは違い苦しい。タニウツギが満開でツルウメモドキが咲き初めであった。少し前進すればアキグミが終盤となっていた。反射板地から15分もかからず樹林の地蔵山だ。

 ③地蔵山はまったくの無展望、でも1等三角点地だ。今回は長い昼食タイムはとれないので、ここで最初の行動食タイムの10分だ。さて、以前に京都人のご夫婦が1000回登頂と地元紙で話題となったのは記憶に新らしい。が、エ~わからない、どんな魅力があるの・・・?の気分だ。といいつつ、ここまでの三山は私も数えきれないほど登っている。また、今回途中で比較的まれな樹木でもあるツルウメモドキを見つけたので、運ぶ足も多くなりそうだ。

 この後はアセビのトンネル地であるが、冬場の通過に苦労する箇所でもある。そして自然林のブナやミズナラが広がるお休み処適地で深呼吸としよう。ここでもカマツカやゴマギの花は過ぎているが、それらの樹木が大分大きくなっているのが、ここへが久しぶりだとの証明のようだった。
 杉林が出てくれば下の方には昔のスキー場の小屋があったのだが、長年の風雪によってぺしゃんこに壊れて哀れな景色となっていた。このあたりまで降りてくれば、芦見峠は目の前でいきなり関電鉄塔下のための大伐採で、青空が広がってくる。右前方には登る三頭山が見下ろしていた。

 ④芦見峠まではこれまで冬期に八木から地蔵山のスノーハイクで何度も訪れている。だが、この峠より三頭山(みつづこやま)へは、今回のような縦走でしか登っていない。久しぶりに訪ねたが、途中から振り返る地蔵山に竜ヶ岳にの景色は逸品だろう。
 芦見峠から25分で山頂だった。着いてこれまたびっくり、あたりの高木が伐採されて日が当たるようなほど明るくなっていた。高木となったエゴノキが満開状態となっていた。だが、展望は相変わらず0だ。3等三角点がひっそりと埋まっていた。これまで、ここで他の登山者に出会ったのは一度しかないほど人気がなさそうだ。

 しかし、問題はこの後だった。地蔵山の巻道でもある水路跡を20分ほど進むと強烈な土砂崩れで、一瞬たじろいだ。どうししょう撤退しようか・・?。でも意を決して急斜面の足元を気にしながら一旦ほぼ30mほど降りてまた谷を越えて同じくらい登り上げた。手にとる枝や木もないために滑落しないように慎重に登り上げた。細くなっている道までようやく上がり、それでも崩落地を見に戻ると二か所目だがロープがフィックスされていた。それでもロープ設置後にまた土砂が崩れたようで、ロープに手も届かない状態となっている。とても通過は容易ではなさそう。もちろん危険状態だ、それがあるから一つ目の崩落地まで検証に戻れずじまいだった。
 なんとか倒木地を越せばようやく渡渉地にホッとして林道に上がる。以前に多くのコケイランの株はまったく姿もなく、オオバアサガラの蕾膨らむ感じも休まず林道だが、あちこち倒木や大きく道路崩壊状態であった。でもウリノキやコアジサイなどを楽しむ。林道が終わり渓谷歩きに入れば心和み、心ゆったりと累々の岩を越しながらフタリシズカやコバンノキなどが嬉しい。コバンノキに出会えるのも我にはここしかない。どうか宝くじが当たりますようにと手を合わせて頭をさげた。

 ⑤竜の小屋は人影なく寂しい。止まらず行こう。この後には長時間林道歩きが待っている。すぐのダルマ峠では二ヶ所目の水場で給水休憩としよう。いよいよ長い林道歩きでウジウジ峠、榧ノ木峠に松尾峠をやりすごし、ようやく朝日峯登山口がすぐ分かるように標示が大きい地だった。竜の小屋からここまで55分もかかってしまった。
 だが、この山はどのルートからでも林道歩きは免れないし、林道取りつきよりわずかで往復できる。今日は走りもしないのに登り9分下り6分だったがつまらない山だと思っていた。これまでは道沿いに笹がいっぱいだったが、今はここでも全く笹はなく、緑は消えてしまっているのが残念だ。鹿害問題は語るに難くない。
 だが、山頂に着いてびっくり、東から東南側が気前よく大伐採されており、展望グ~、都富士の比叡だ~。この展望を目の当たりにすれば、山歩きをやっていてよかった!、やっぱりたまらないとの思いが元気を呼び戻してくれるのだった。

 ⑥朝日峯下山後も林道が長いと思って歩きだしたが、林道終点まで25分しかかからず、途中満開のサワフタギが見られてこの間はそんなに辛くはなかったように思えた。ただ、以前には途中林道から沿うように外れて古道歩きができていたのだが、今では誰も歩かないとみえて取りつきを探すも、それらの入口出口すらも分からなかった。どうやら廃道となってしまったようだ。
 林道終点から20分で峰山へ上がってきた。やっぱりこの峰山も展望0だった。こここそ過去に人に出会ったことはない。ところで私はこれまで、峰山の下山は引き帰えらずに、山頂からまず北向きに降り、そして南へとって荒谷の超歩きにくい谷から高山寺へ下山としていたのだが、今回は山頂にこれまでなかった高山寺への真新しい案内板が下がっていた。
 これはありがたい、この南への方角は西明寺方向のはずだが、高山寺手前の荒谷は通らずに下山できれば楽だろうと利用させてもらった。もっともほぼ尾根が終わって東へが高山寺方向だが、ここまでしっかり標示があったのに、この分岐は両方にテープはあるも標示板はなくなっていた。こちらは反対側へ進み傷みの少ない谷筋から西明寺へ降りさせていただいた。ところが鹿除け柵があり、本来登山者通過は許されていないのだろうか。今後はやっぱり尾根末端分岐から東側の高山寺へとろう。


 さて、今回の道のりの中において目についた植物たちにふれてみよう。もちろん、この時期だから、花はほとんどが終焉を迎えており、遅咲き組が蕾膨らむ程度で楽しみの山歩きというより、ただ歩くだけの林道歩きの感じに思えてしまった。

 ✿山野草はフタリシズカ・ミゾホオズキ・ジシバリ・ユキノシタ・クリンソウくらいでありきたりなものばかりだ。

 ❀樹木はさすがに多い。

開花状況 樹  木  名 
満開  サワフタギ  タニウツギ  ウツギ ガマズミ     
咲き初め  ツルウメモドキ  コアジサイ  ウリノキ  ナツハゼ     
蕾膨らむ  オオバアサガラ  ネジキ         
ほぼ終盤  コバンノキ ヤブデマリ  アキグミ  エゴノキ  カマツカ   ゴマギ
果実  ナガバモミジイチゴ           

 比較的珍しそうな種を取りあげよう。

         

 *↑最初の画像のコバンノキは高いところの枝をひっぱって写したもので、葉は裏側が写っている。

 いずれにしても、本日はほぼ30K、10時間ほどの歩きとなってしまった。このような修業山行?はほどほどにしたいものである。

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