比良八幡谷右岸尾根から釣瓶岳’15.2.4 曇り

JR堅田=細川-細川城跡-P713-Ca1040-釣瓶岳-ナガオ-広谷-イブルキのコバ-ダケ道-JR比良 

 細川尾根の北に八幡谷が流れているが、さらに谷の北側の八幡谷右岸尾根を登ることとした。取りつきは細川のバス停から龍松寺の下を進み、すぐで植林帯を左へ前進すれば「細川城見学コース エ 細川城跡」と杉の木に標示があるために確認(9:45)して安心できる。そしてその後はすぐに分岐に出会うが急坂の右へではなく、左のはっきりした古道を辿ろう。今日もひとりぼっちの比良をゆっくりのんびり歩きを楽しもう。 

     
 杉林を左の踏み跡へ入り   エと目立つ張り紙 を確認

 古道はそれなりに急坂が続き汗かきには堪える。バス停近くの登山口から半時間もしないで崩落地跡らしき箇所が目の前に広がる。ここで道があやふやになるが、少し手前あたりから右上に上がれば掘れた古道が豪胆に現れる。その後には岩場から倒れた大きな樅の倒木が道を塞ぎ、枝を潜る箇所もあるが古道は続き、やや左下に切れ落ちそうな細くなった箇所を注意して通過し、右にカーブするとすぐに道は消えてしまう。ここが急登のやせ尾根取りつき地(10:30)である。

     
 崩落地跡らしき地は道不鮮明だが    やせ尾根取りつき地

 この尾根は最初からきついが、岩交じりのやせ尾根に標高を稼ぐ。途中には株別れが特徴のイヌブナが立っていた。この木は別名クロブナともいわれ、樹肌に皮目のブツブツが多いので肌が薄黒く、どう見てもシロブナともいわれ、ホンブナのように木肌が白っぽくすべすべしているブナとは大違いで、ハイカーには人気がなさそうだ。

     
 岩交じりのやせ尾根    株別れが特徴のイヌブナ

 一気に100mほど高くなったようで、急登が終わって右からの尾根合流近しと分かるように枝に黄色と赤テープが目についた。もう緩やかだと気分も落ち着ける。大木のモミやミズナラが4~5本一列に伐採されずに残されて並んでいる。ほどなく倒木の枯れ株が二ヶ所転がるP713到着(11:10~20)である。もちろんこの広場で行動食に一息いれよう。

     
 大木のモミやミズナラ    倒木の枯れ株の転がるP713

 そして、重い雪にここまでツボ足で苦しんで上がってきたのだが、一人ラッセルはもとより承知である。ようやくスノーシューの出番となる。しばらく緩やかな足取りが続く。でも、また急登であたりに樹氷の景色を目にするようになれば900mあたりを越したのだろうか。この景色が次第にすばらしき様相を呈してくれる。
 この絶景にはルンルン気分で辛い歩きも慰めてくれ、まさに右顧左眄(サベン)である。このようなきれいな一面の霧氷のトンネル広場は何度出会いがあってもいいものだ。これが至福の時というのだろう。ほんとうは1000mあたりのこの一帯で1時間くらい身をおきたいなと一瞬心浮かれた。

 
 このような景色に言葉は要らない・・・しかし、いいもんだろう!、毎年登ってこの絶景を見たいものだ~♪♪
 

 でも、この場に留まる訳にはいかない。目の前には釣瓶岳手前の小ピークがあるのだ。この八幡谷右岸尾根には縦走路ピークまでに私には3か所の急坂があったように思えた。元気組の脚なら最初の一か所のみと思えるだろうか・・。

 小ピーク(Ca1040)のここからは南に北稜が白い縦走路を見せて武奈ケ岳の頂(1214.4m)が君臨していた。山頂には2~3人の影もかすかに見えるではないか。今朝ほどバスで一緒だった坊村から登った方はもう下山中だろうか・・。
 そして反対側には、この先の北東へ本日の高みである釣瓶岳の頭も雪庇つく小ピークより眺められる。これから歩くナガオなどもひとしきり展望を楽しみ、いつものように雪庇の洞穴で昼食(12:40~13:00)としよう。ありがたいことには無風で寒さはそう感じない。

     
北稜が白い武奈ケ岳     小ピークより釣瓶岳

 
同じくナガオ尾根

 ここまで尾根の急登に手間取り、時間的にはそんなにのんびりとはできそうにない。腰を上げればわずかに降って少しの登りで雪まみれとなりながら釣瓶岳(13:15~20、1098m三角点無)登頂成功だ。山頂の杉の木は雪まみれで北の蛇谷ケ峰は雪のつく枝の中からかすかに覗いているほどだった。

     
 大杉は雪まみれの釣瓶岳    北の蛇谷ケ峰はチラッと

 さぁ、いよいよこの後は最終章のナガオの散歩道である。といって、このルートにはほとんど降りばかりで、苦手な登りはないに等しい。どんどん下ろう。途中の展望地あたりからの武奈を何度も眺めながら一人旅は続く。
 そうはいってもさすがに疲れは隠せない。Ca1040を過ぎ最後のP991を手前のピークと読み違いし、ぼんやり谷を降ってしまったために広谷の谷への着地には激下りで往生した。沢にどうにか降り対岸へ上がるにはゆうに2mは積雪ありで、ストックやシューで掻き落すのにも一苦労、そして崩れる雪を越すのがこれまた危険だった。そして上れば左へ進みまた渡渉、こちらはどうにかやっと越すことができ、見覚えのある畑のような広場は広谷だと思い、沢沿いの樹木を覗くとずばり看板を見つけて一安心だった。

 こうして覆いかぶさる雪に閉口しながら乗り越えるなど、それでもなんとかクリアして、レスキューポイントの看板ある広谷到着(14:20)ができたのだが、雪がさらに多く看板も隠れていれば躊躇したことだろう。しかし、あの木に看板が・・と覚えあれば看板を掘り出すこともできるのだが・・。
 いずれにしても、このあたりの地形はほぼ記憶にあるために相対的な眺めをしっかり確認することだなと気のつくほどであった。もちろん、沢を越えなければならないのだが、その丸太橋は雪つき危険なために、30mほど下流から乗り上げ、以前に望武小屋の建っていた高みを巻いて、なんなくイブルキのコバ(14:30~45)で一本立てよう。ここまで戻れば終わったも同然だ。ここからはトレースありだから気分が緩んでしまったので行動食でのんびりしてしまう。

         
右の木、下に レスキューポイント看板   橋から30m下流から沢を越える     イブルキのコバ

 そして八雲が原(15:00)から北比良峠(15:20)、さらにダケ道を降ってイン谷口(16:44)よりJR比良駅(17:17~34)となったが、電車が発車するころにはあたりはすっかり暗くなって、近くの建物や走る車には明かりが見えるのを電車よりぼんやり眺めながら、汗臭いザックにもたれかけて居眠りとなったのである。

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