比良 細川尾根から武奈ケ岳 ’14.1.16

 JR堅田=細川バス停-細川尾根-706P-北稜-武奈ケ岳-コヤマノ岳岐れ-八雲ケ原-北比良峠-ダケ道-大山口-イン谷口-JR比良

 今年も最初の武奈へはやっぱり細川尾根から登ろうと去年から決めていた。今回は天気がそんなによくもなく展望はもちろん、樹氷もすぐれない。道も先の祝日の13日夜から今朝まで雪は降らなかったようで、13日のトレースがほぼそのまま残っているという状態で喜ぶべきなのか、いや悲しむべきだろう。そして最も肝心な積雪量もそんなに多くもなく、いや少な目というべきだろう。 

 ということで、他人から一番面白おかしく読んでもらえる内容はアクシデント等不幸話しがいいのだろうが、今日の結論をいえばどうってことのない、しまらない細川尾根からの武奈となってしまったのだ。そうだろう、これだけやみ雲に在在所所へ山通いすればいい日、悪い日、どうでもいい日もいろいろあろうというものである。いわずもがな、私も山のあらゆる機会に自負心が満足されるのを期待しているのだろう。やっぱり自負心の満足だけをあさるのはいただけないのだろうか。でも他の山人の心などへの耳も持たない。

 さて、今日は細川バス停を定刻(9:43)どうりに歩き始め、706Pには10:50着と昨年とほぼ同じで上がって来ていた。その地までの道とは異なり、この後すぐの急登には毎回閉口させられる。だが、さすがに本日この一帯の雪は多めだったのだろう、さらに相当苦労しているのが昨年にはない思いである。
 もちろん、昨年2/7は雪はそんなになかったのだから、しんどさの違いは当然だろう。でも後で思えばこの細川尾根の辛いのはこの706P上から1000m付近の大杉(12:00)までの高さ300mほどで、本日の歩きでいえばほぼ1時間くらいだから、辛さの我慢もできないほどでもないだろうに・・。

 そして、細川尾根の魅力もこの間に凝縮されているといっていいだろう。それは植林帯が過ぎ自然林ばかりとなっているのが一番の魅力と感じるのだ。もちろん、ブナの大木は多くあり、イヌブナも道沿いに多数の株別れを展開している。もっとも今回このイヌブナ側から離れたトレースを追ってしまい、これだけ多い株別れのイヌブナにも出会えず終いだったことをこのページを整理中に思い出したのである。

 またナツツバキもほどほどの大きさであの独特の木肌で目立ち、他にも木肌から見てカエデ類やアカシデ、イヌシデ類も目にしながら歩くのだ。そうそう、大杉のすぐ上だったと思うが、イワカガミはもちろんイワウチワの葉も昨年見ていたことも思い出す。今後は雪時でなく花時に歩くこととしよう。

 そして北稜方面の樹氷も期待して前進するも、あたりは釣瓶岳はもとより全くのガスの中のようで残念至極となってしまった。その北稜にとりついても武奈ケ岳の標識すら見えなかったのだ。山頂(12:25)には二人が着いたばかりのようで写真を取り合っている。こちらも一枚撮ると二人に邪魔だろうと気兼ねし、すぐに降りることにしよう。

             
 細川尾根頭近い樹雪    北稜合流地から山頂方面   西南よりから    あの先を左へ降ろう!

 本来なら山頂での食事が楽しみであるのだが、今日ばかりは真っ白で寒く、自負心も満足感もこの天気を選んだことからの結果だとの衝動感を必死におし隠すのであった。道は予定どうりに行こう、西南稜を右に見送って左折の道であり、強風で飛ばされてしまってトレースも完全になしの急坂を一気に下れば、すぐに雑木の中に踏み跡が出てくる道となってコヤマノ岳方向へ進出である。

 今回はコヤマノ岳から南尾根の金糞峠ではなく、八雲ケ原からダケ道を予定しているのだ。この分岐の立派な標識を左折し、本日このあたりのみ雲がとれ展望が叶えられる。それらは琵琶湖や釈迦岳、振り返れば大きなコヤマノ岳に堂満岳の頭などの展望だ。そして真っ白な旧スキー場を一気に駆け下ろう。

 
 旧スキー場より釈迦岳など

 武奈の山頂から40分ばかりで八雲が原へ到着、普段から赤茶色のヤクモ池や湿原の中の木製の遊歩道はもちろん雪に埋もれているのだ。そのあたりは杉林で寒風を凌げるのがありがたい。13時も回るほど遅くなってしまったのだが、ここで昼食としよう。
 ほどなく静寂の中にあまり聞き慣れない野鳥の啼き声が楽器を奏でるかのように音楽を聞かせてくれるのであった。これは食べ始めた寒空の空しい空虚感をかき消してくれ、自然の隅に腰を落とす我が眼は雪原に突きたてたスノーシューを愛おしげに眺めながら食を進めるのであった。

 いっぱい詰め込んで今日ばかりは、ここで大満足だと一人笑いしながら北比良峠への緩やかな上りにかかろう。ロープウエイ跡のフラット地で振り返っても武奈の顔はなく、とぼとぼとダケ道を降るのだが、こちらもそんなに雪もなく、蝸牛の歩みでかもしか台から大山口へ下山した。

 今日ばかりは比良の雄でもある武奈の山頂で出会った二人以外に姿なく、6時間半ほど雪の自然徘徊だったのだが、今後の山も吾にとって、自分で自分の心を抑えるという諺の”気で食う”ことなくやっぱり自らの自負心をあさることになりそうだ。

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