京都北山 雪の愛宕山 ’13.12.23

 清滝-八丁尾根-首無地蔵-愛宕三角点-大杉谷-第5ベンチ手前-大杉谷左岸-空也の滝-清滝

 今冬初の雪の愛宕山へ登れました。今回は久しぶりの八丁尾根を散歩がてらに歩きますと樹間より左手に雪をいただく愛宕の峰が見下ろしているのが目に入りました。よし、今日は雪を踏むことができるのだと意気揚々の気分となります。ほどなく八丁山のプレートも下がっていますが思わず笑っちゃいます。

     
 真っ白となっている愛宕    ピークらしくない八丁山

 記憶の薄れるほど遠くなってしまった八丁尾根歩きでしたが、こんなにきれいな歩きやすい道だったのかと、花咲く来春にも歩きたいなと思い始めるほどのコースとなっていました。自然派思考の気の合う仲間もすっかり同調してくれます。世の中、ことはいずれも同然で、気の知れた仲間との山歩きほど楽しいものはありません。

 道に散らばる落葉や実をいち早く目にした友は、「お、ウラジロノキだ、樹木の本体はどれかな」と探し出す友の行動に、「お~、なかなかやるね~」と惜しみない賛辞を投げかけるのもうれしい瞬間でもありました。こんなやりとりをしながら、のんびり歩きでした。
 月の輪寺登山口先の梨の木林道ゲート手前にある八丁尾根取りつきから1時間半もかかって舗装路まで上がり、昼前近くなってきたのですが、昼飯はやっぱり山頂でしようとここでゆったり休憩です。今日の出発がいつもより遅めであればいたし方ありません。。

     
 ウラジロノキの落ち葉と果実    車も時々見かける舗装路へ上がる 

 舗装路歩きからすぐで左手に愛宕山、三角点地に竜ヶ岳の頭がそれぞれ見えます。今日はあの真ん中の愛宕三角点地まで行こう!、まずは首無地蔵でしたがすぐに地蔵さんに到着、さすがにこのあたりより雪が出てきてくれました。

 
   
愛宕山、三角点地に竜ヶ岳の頭(クリックで拡大)     サカサマ峠の首無地蔵地は林道で明るくなり

 これより雪の登山道を喜々として進みましょう。ほどなく左手に真白き比叡山、比良の蓬莱に武奈もしっかり顔見世となっていました。そしてさらに上がればいつものイヌブナの森で心遊ばせましょう。いいですね、平な地は化粧してその中にイヌブナたちと青空の微妙なアクセントが素晴らしきかな雪景色でした。

 そして清滝から3時間20分もかかって愛宕三角点地に裏側から登り上げましたが、先客がにぎにぎしく宴会中です。隅っこへなんとか座らせていただき遅めの昼食とします。途中鉄塔上から解けて氷化した塊がバタバタと落ちだしてきました。宴会中のひとりの顔から赤い流れが見えました。痛い!、と叫んだその人やそのグループの方たちは慌てて席を逃げて、近くの雪のテーブルへ移動です。


三角点を見上げる

 これまで、このベンチで何度も食事をしていますが、このようにそばの鉄塔から落下の氷片で逃げ回るのは初めてでした。昨夜から今朝にかけての冷え込みで、このような雪を見たのですが、鉄塔上部も相当の氷結となっていたのでしょう。ところが13時前ともなりますと、温度上昇となっての仕業でした。
 こちらはすぐさま帽子の上にいろいろ乗せて、さらにフードをかぶって防空頭巾がわりにし、氷の落下対策としたのでした。大きいものは10×5cmほどのものまで何度も落ちていました。そのような有事の際です。そう長い昼食としないで手短にすませて立ち上がりました。

 すぐに急坂でなく、左の森の植林を縫って地蔵辻方向に迂回しましょう。ジープ道へ進めば比良方面の展望がすばらしく、こんな景色がこれからどんどん見られることとなるんだねと二人で期待し合います。途中の京見岩そばにはカナクギノキが冬芽を膨らませていました。

 そして予定どうり月の輪寺道を下って大杉谷へ右折です。この後は杉や檜の植林帯を急坂くだりで、すぐに第五ベンチ手前の大杉谷左岸道へ左折しましょう。さぁ、これより細い道が続きますが、でも私には勝手知ったるコースですから大丈夫です。年が明け大雪時期を期待してここを登りに使いたいものだと心弾みます。
 そんなことも話しながら降りると、気分的にはすぐでまずは小さな二俣地へ到着です。ここも伐採木など荒地の広場ですが、初めての方が今回とは逆コースで空也の滝手前から取りつく場合には、この二俣まで到着できる方は少ないでしょうなどと話します。

 なぜなら、この後に二俣からわずかで右への分岐が出てきます。ここがルート間違いの原因箇所なんです。この分岐へ上がって来た方は突き当りをほとんど右折してしまいます。なぜなら右も左もきれいな道となっています。ではどうしてここを右へ進むのでしょうか。それは右へ上がり、左へは下っていく道となっているからです。人間、心理的にここまで登ってくれば、ほとんどの方が右への登りを選んで進むのです。では右へ最後まで行けばどうなるのでしょうか。最後は林内で道は消えます。この一帯が分かっている方はその上に月の輪寺道があるはずだと無理矢理突破して本線に乗ることになります。

 では、元の分岐に戻って左への降りに進めばどうなるでしょう。そうです、着くところが二俣です。しかし、この地は荒れ放題(↑画像)に見えます。実は熟練者の方が初歩きでこの二俣まで進めました。ところが、ここへ着いてどちらへ進めばよいのか、悩んだ末にバックし、先ほどの右折道を上がってしまい、その後はお決まりの強行突破歩きをされているのをネットで書いておられます。相当の熟練者とお見受けするその方ですら最初は失敗されております。その方は、その失敗を知った友より二俣からの進行先を教えてもらって後日に完歩されたようです。

 要はこの二俣(この地についても二俣という標示は一切なし)についた方はこの荒地に心配しないで、ザックをおろしてここで一本立て、じっくり心落ち着かせることです。そして空身であたりをうろつきましょう。そうすれば右側の岩より左側へ薄い踏み跡らしきものやテープ類も目に入るでしょう。そうすればもうしめたものです。その後は杉林の細い一本道となり、第五ベンチ上のゴールは近いでしょう。もっともこの杉林の中も細い道を失わないように注意されたらいいでしょう。(なお、今の説明はあくまで登り時の説明です。)

 なぜなら、登りで上がって来る場合には、この下にも多くの作業道などの分岐があるために、左岸ルート初歩きの方では一発で「空也の滝下から大杉谷本線の第五ベンチ上まで」の完全踏破はほとんど容易ではないでしょうね。
 私はもう10年くらいになるのでしょうか。第五ベンチあたりを桜の園にしようとの大杉谷登山者に資金提供を呼び掛けて、コツコツと雑木を刈って桜の木を植える準備をされているところに出合いました。その後十何本かの桜の木を植えられた方に、この左岸コースを1度だけ連れていただき下山したのがきっかけとなって、このルートを歩き始めたのでした。もっとも今ではその桜の木も3本ほどしか残っていません。

 愛宕山の主だった道なども数多くありますが、あの当時には表参道、水尾への参道、裏参道の月の輪寺道や大杉谷道などの道整備はそれぞれ特定の方が行うという暗黙の了解でもあったのでしょうか。その大杉谷の主のような方は小柄でいたって元気、もちろんすごい健脚な方でした。こちらがいつ登ってもその方の姿を見ない日はありませんでした。
 その方も当時は大杉谷のコースの道整備やベンチの作成、さらには水場付近へクリンソウなどの植栽などに毎日のように尽力されていましたが、ここ数年前からパタッと姿が見えなくなってしまいました。もうお名前も失念してしまいましたが、お元気にお暮らしだろうかと案じていますが、お元気であることを祈っています。

 そのようなことから、近年では大杉谷左岸コースを歩く度に、あのおじさんはお元気だろうか。よし、それならこの左岸道整備に微力ながら力を出そうと数年前から草刈、伐採木散乱整理、枯れ木、倒木などで道を邪魔するものを整理しようと手をいれてはいるのですが、追っかけっこ状態で自然にはなかなか勝てません。今回も歩いて見て、またまた倒木や台風の爪痕かなと思われる様子を見ながら降りましたが、ほとんど人が入らない道は容易ではないもののような有様です。

 二俣からも何度か分岐を分けて進んでくると道に鳥の羽が何かに襲われたのでしょうか、散乱しています。野鳥にも詳しい友も可愛そうにカケスが襲撃されたようだと嘆きます。この辺りには狸が住んでいるようで、ここらで2度見たよと話したりして私も情報提供です。

 下部の右俣の支流よりトラバースしながらまた左岸に合流すれば、落つる水音が近づきます。やっぱりまた今日もヒグラシの滝に降りて可愛い10mほどの滝を見上げ、この滝もこれまで何度見上げたのだろうか・・・、そしてこれからも後、何度来れるのだろうか?、などといろいろ考えながら眺めている私でした。

 この後も下って登ってを繰り返して行けばまた分岐でこの一帯は伐採木散乱箇所でした。これを右に降るとこんどはまた右に分岐ですが、これは空也の滝落ち口上に行く道のために、こちらには入らず直進します。そしてシダのウラジロの草刈をした箇所を過ぎれば最後の分岐にきました。
 反対に空也の滝から登ってくる方には最初の分岐地です。これまでにも私の知り合いの方はここで右上に直進してしまいました。もちろん、直進しても軌道修正して正規左岸ルートに合流可能ではありますが、それは知っている方でないと無理というものです。
 要するにここへ上がって来た方は左へトラバースすることです。サルノコシカケのきのこが着いている木を見て左へ進めばひぐらしの滝へはどなたでも行けるでしょう。もっとも今回、この分岐地点の右直進へ促すように赤布が付いていましたが、私は赤布の撤去はしませんでしたから、ご注意され無視して左折です。

 さぁ、この後は道なりに降れば空也の滝手前の鉄パイプのついた短いコンクリート橋手前に降り立ちます。ここへザックをデポして空也の滝巡りとしましょう。この滝までやってくると深閑とした霊気ただよう空也の滝でした。ここでは大昔よりこの滝に打たれる行をされていたところのようですが、現在でも行われているのでしょうか・・・あたりの灯明も明々と灯り、お花もきれいに祀られていました。

     
 鉄パイプのついた短いコンクリート橋手前    空也の滝

 この後は「月の輪寺のぼりぐちです」など賑やかに書かれた場所まで降りて、清滝バス停まで30分ほどの東海自然歩道歩きで戻りました。本日約7時間ほどの愛宕山を楽しみました。お疲れ様でした。

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