奥比良 横谷峠から蛇谷ケ峰 '13.9.18

 今回は18号台風一過で久方の青空が気持ちよく、長らく天候すぐれずの夏山が続いていたのですが、秋風涼しい快適山歩きとなりました。。しかし、本日はJR高島駅前9:04発のコミュニティーバスで入った畑バス停手前の道路が先日の台風で崩落し、バスは侵入できずに復旧工事中、黒谷基幹林道入口前が臨時バス停となっていました。

 ところが、本来のバス停までは10分足らずの歩きで助かりました。八幡神社前、琳明寺前を進み棚田の畦道を行くと次第に台風での影響がやや見られましたが、それでも歩くにはそう支障はありません。一週間前にマイクロバスで走った基幹林道交差地まで上がってくると、左右の道路には落石等が散乱して車両の通行は不可能状態となっていました。

 そんな中をこちらはツルボ、ツリフネソウやマツカゼソウを眺めながら道路を交差して山道を登っていきます。自然林の中に大木が登山道沿いに見下ろしていました。木肌で同定は容易ではなく、あまりに背が高すぎて見上げても葉がはっきりしません。でも下部にひこばえの枝から葉を見つけてあれこれ悩んでヤマハンノキだろうと読みました・・・。(拡大画像は画像をクリック!)

 もちろんこの山系は日本海要素のシロモジが多数見られます。いろいろ樹木観察しながらの古道歩きは雰囲気のすばらしい時が得られます。本来の畑バス停から1時間で横谷峠でした。峠には栗の実はまだ食べられる状態ではなく、青々とした毬栗が台風で散乱しているのが残念です。

 あたかも癒しの森と思える小径が続きます。この道は比良縦走路となっているのですが、この一帯の奥比良は人の入り少なく、踏み跡は極めて薄く誰一人として出会うことはありません。荒谷峠から須川峠にやってきました。左下あたりから水の流れがいつもと違い、18号台風の豪雨の影響でしょうか、ゴーゴーと聞こえてきます。どうやらこの先の一の谷、二の谷、三の谷を合して横谷に集めた水流は村井あたりで安曇川に流れていっている源流直下のあたりとみました。
 少しその流れの様子を伺いに降りてみますと水しぶきを上げて白く急流となっていました。この近くで幕営もできるなとみました。それに縦走時の水場としての給水箇所の利用に使いたい処でもありました。いい発見ができました。

 すぐ先の滝谷ノ頭の東側より樹間に伊吹山が見えることもみつけ、その景色を見ながらお昼とします。なかなかの展望台でした。できれば雪の中よりやってきてこの展望台に腰を下ろしたいものです。食事後はいよいよ蛇谷ケ峰へ向けて登りとなります。
 足元にはオオイワカガミの光沢ある大きな青々とした葉の群落が方々に見られます。もちろん登山道沿いには樹木たちがいろいろ実をつけて楽しませてくれるのです。ハナヒリノキ、ナツハゼ、ヤマボウシ、ナナカマドなどでした。

 しかし、ア、この木は何だ!と思わず声の出てしまったものに出くわしました。葉の大きさ、木肌の様子、果実のつき方など、いろいろ考えるのですが、どうしても考えがまとまりません。これぞ悩みましたネ・・・その写真↓をご覧ください。答はクリックで・・

 この先にはびっくり、大木の下部に熊の爪砥ぎ傷が大きく残っているではありませんか。やはりこの一帯には多くの熊たちが生息していたのでしょうか?、それとも現在でも熊はいるのでしょう。でも今年はブナの生り年のようですから熊も安心でしょうか?・・・

 次第に標高が上がってきます。いつも沢沿いの水は枯れてしまっているのですが、さすがに今回は台風一過で左に走る沢にも小さく流れが見えています。樹木たちの中にはこの一帯では初めて気がついたズミが若い実もつけていました。このコナシともいわれる花時にも歩きたいものです。

 その後もコシアブラの若い実やハリギリという珍しい葉の木、そしてカマツカの果実を見てから、一気に急登で上がるとやや平な地から南の武奈がきれいに見えますが、山頂はすぐそこだから休まずに前進すれば、いよいよ奥比良の雄である蛇谷ケ峰(901.7m)3等三角点に貸切で到着でした。

 今回は久しぶりに青空広がるまさに360度の大展望が待ってくれていました。何度足を運んでもすばらしい山ですね。雪の蛇谷・春の蛇谷・秋の蛇谷とそれぞれの光景が目に浮かびます。その中でも一番はやはり雪の中からの大展望に勝るものはありません。次の冬にもやっぱりここに立つことでしょう。

 山頂ではキアゲハとツマグロヒョウモン(いずれも♂)が盛んに飛翔していました。なお、山地内ではアサギマダラも目に入りましたが写真は撮らせてくれませんでした。

 山頂の大展望を楽しんでいると地元の青年が生きものふれ合いの里センターから登ってきました。その彼にカツラ谷を降りたいのだがと尋ねると、先日の台風でセンター側から入ったがすぐに崩落ありで、引き換えし尾根を登って来たとの情報を得て、あまり無理は危険だろうと、もう一つ下の分岐からスンゴ谷を生きものふれ合いの里へ降ることにします。このスンゴ谷にはオオバアサガラの大木が風のいたずらでしょうが、真っ二つに折れてしまっていましたが、それでも花は咲いたとみえて花穂が沢山ぶら下がって残っていました。

 本日のお目当てのウメモドキには出会えなかったのですが、もう一つのアオハダは見つけました。でもやはり落葉高木で背が高く、赤いきれいな実をいっぱいつけた状態をズームでなんとか撮ったのですが、特徴である短枝の様子などがもう一つはっきりしなかったのは悔やまれました。

 樹木の果実たちをご覧ください。

 山野草などもどうぞ

 朽木生きものふれあいの里センターからは赤い橋を渡っててんくう温泉に16時過ぎに到着、ゆったり一風呂浴びて腹の虫押さえした後は、シャトルバス最終17:15に乗り、江若バスでJR安曇川駅へ向かいました。それにしても安曇川一帯には台風18号の大暴れの爪痕があちこちに見られ、目を覆いたくなる有様でした。一日も早い復興が待たれるところであります。。。

 ホームヘ