京都北山  魚谷山  '13.4.29 晴のち曇り

 松尾谷林道分岐-直谷林道-樋ノ水峠-三角点地-貴船山-滝谷峠-直谷出合-細ケ谷-柳谷峠-魚谷山-魚谷南尾根-P764-松尾谷林道分岐

 

 10何年ぶりの魚谷山へ登ってきました。辿った谷歩きがまたすばらしく、さすが京都北山だと思わせてくれる歩きで、まさに北山のよさが満喫できる道を楽しむことができたのでした。それにしてもこの時期コバノミツバツツジ?はほとんどが咲き終わって落下盛んなのですが、今回の山頂付近はもちろんいたるところに超満開で楽しめました。。(以下全画像クリックで拡大しコメント等も見ていただけます。)


コバノミツバツツジも大満開でした。

 林道端に止めた車を降りるとムロウテンナンショウが咲き、直谷林道を進むとヤマルリソウ、ムラサキケマンにミヤマキケマンなどを見ながら先を行きます。歩く林道右側のせせらぎの流れも元気よく、その流れにかぶさるように満開のチドリノキが鮮やかな新葉とともに眩しく、すぐに近くにはチドリノキと同じように葉脈のきれいなクマシデも見られました。

 こんなに木々の花咲く林道歩きならいくらでも歩けると思っていると、小さな木橋で流れを渡ることとなり、ここで一本立てます。ところがこの流れを越える苔むす岩あたりには山野草がいろいろ咲いているではありませんか。
 時期的に花時が過ぎているのはやむを得ないにしても比較的珍しいハナネコノメに出会えて喜びます。さらにトウゴクサバノオ、ニリンソウ、マルバコンロンソウ、オオバタネツケバナたちの満開にオモトがまだ暗赤色の果実をつけているのも楽しみながらの歩きとなったのです。

 さぁ、衣服調整を済ませると気ぜわしく樋ノ水谷を歩きましょう。水の流れに沿ってハナネコノメや膨らみかけた蕾のクリンソウなどの草花を賑やかに楽しみながらデジ亀歩きです。あたりには新緑が谷の両サイドにきれいです。花好きのみんなを喜ばせてくれます。こののんびりとした沢歩きでもなんとか1時間ほどで樋ノ水峠に上がってきました。

 すると白い大ぶりなお花のムシカリが斜面に咲き誇り、あたりがぱっと明るくなったような気がすれば、なんとまだまだコバノミツバツツジの大満開が広がっているではありませんか。奥深いさすがに北山です。コバノミツバツツジはこれよりこの後もずっと華やいだ気分にさせてくれるのに余りある可愛い薄紅色で枯野を賑やかにしてくれているのでした。

 貴船の2等三角点地、その上の貴船山ピークのあたりには草はまったく枯れきってどこでも歩けるような状態となっていますが、踏み跡を追って杉の植林帯の中など、どんどん林をトラバースしながら降り立ったところが滝谷峠で、ここは古くからの分岐点ということで道標など賑やかでした。

 この峠から直谷出合までの下り道もまた気持ちいい、山郷の遅い春を味わいながら大きな堰堤前に飛び出し、わずかに下がっていよいよ本日の一番北山らしい谷合いである細ケ谷に入ります。小さな渡渉を繰り返し、足元にはニリンソウ、オオバタネツケバナ、マルバコンロンソウ、咲き初めのヒトリシズカや残花のボタンネコノメソウなどを愛でながら、まだ一週間は早かったのかなぁなどとクリンソウの群落を横目に歩きます。

 すると京都が生んだ岳人としてまた、北山を開いた先人としても名高い今西錦司博士のレリーフ地でした。こよなく北山を愛した今西銀司博士のみならず、西堀栄三郎、桑原武夫などの著名登山家、探検家のホームグランドだったのでしょうか。もちろん山岳登山における日本初期の海外登山や探検の鍛錬の地として大きな役割を果たしてきたこの北山の地であったのでしょうか。
 なお、今回見ました今西錦司博士のレリーフ地すぐ上にあった1等三角点はリーダーの調査によりますと次のような情報が寄せられました。

京都北山の今西錦司「三角点」  地図:大原   画像↓右から2枚目のものです。

加茂川の源流、中津川直谷の奥に今西錦司(1902~1992、文化人類学者、登山家)のレリーフと近くに模造の一等三角点があります。この三角点は今西さんが還暦祝いに山の仲間から贈られたもので京都市内の今西邸にありましたが近年この地に移されました。寸法は一辺18センチメートルですが上面の+印が本物より太いようです。[京都一中山岳部史編纂委員会:行手は北山その彼方 北山の会 2003 p163]

 そうこうしているとこの辺りでお昼はどう?、とリーダーからの声でした。見渡せばサワグルミの森といいたいほどせせらぎの中に縦割の樹皮をもつ高木が林立しているではありませんか。そしてあたりにはムシカリが咲き、まわりは新緑に覆われた静けさが漂います。
 こんなに素晴らしい山狭の広場で早速お昼を広げる憩いも楽しい気分上々です。それにまたリーダーによるぜんざいの差し入れまであり、お腹もさぞ喜んでくれたことでしょう。ありがとうございました。大変贅沢な御馳走でした。。またお願いします。。。笑

 こうして後は最後の登りといっても少しばかりで柳谷峠、この一帯も鹿に食べつくされたのでしょうか。どこでも歩けるほど草木は見当たりませんが、踏み跡を素直に追って本日の高みである魚谷山でした。山頂は木々に囲まれ展望には泣きますが、そばにはまだまだコバノミツバツツジがアカマツをバックに満開で見せてくれました。

 さて、下り道はこれより南尾根の町界尾根を歩きます。この尾根にももちろんツツジが方々に満開状態が続いて楽しませてくれる中々味わい深い降りでした。ただややルーファンを要する道のために山慣れない方にはお薦めでないかも知れません。それでも山頂から2時間弱で松尾谷出合の駐車地へ降り立ち、楽しい北山歩きを締めくくることができたのでした。今日は7時間ほど歩きました。リーダーはじめ参加のみなさんお疲れ様でした。

 最後になりましたが、今回の山域で多数見ましたツツジですが私なりに少々疑問が出てきました。当日樋ノ水峠でツツジの同定方法等を話しましたが、実はあの山域にはコバノミツバツツジとユキグニミツバツツジのどちらも見られるかもしれません。といいますのは分布域が境目のようです。
 当日の説明時には両者の相違点を確実に説明せずに、おおざっぱに解説してしまいました。話しながら本来であれば自分でも写真を撮るべきだったのにそれも省略してしまったのが悔やまれます。実はほんとうのところあのツツジはおそらくユキグニミツバツツジだったのではなかろうかと思っています。両者の決定的な相違点は葉柄の無毛か有毛ですが、あの時には花柄で説明していましたが、葉は確認していなかったことを思い出したのです。ユキグニミツバツツジの葉柄には毛がなく無毛です。
 もっとも確かあの時点では葉の展開は気づかなかったように思います。そんなことからクリンソウが咲くころに再訪し、葉柄はもちろん花柄も写真を撮って実査してきますので、後日詳細を報告いたします。申し訳ありませんでした。なお、コバノミツバツツジの葉の説明はこちらのページの最後の画像内でしています。



 後日談を追記です。

 後日確認に出向いてきました。林道惣谷から魚谷山の山頂を目指しました。雲ケ畑の白梅橋から10分も歩くと早速ツツジが咲いており、すぐにルーペで葉柄や花柄の観察です。花柄はコバノミツバツツジもユキグニミツバツツジも有毛ですが、問題は葉柄部分です。やりましたね、葉柄には毛はありませんでした。そうです、ユキグニミツバツツジだったのです。

 ちなみに赤坂山で5/4に見たユキグニミツバツツジの葉柄、花柄もご覧ください。

 他の人たちはこの林道を2時間ほど歩いて山頂を踏んでいますが、私は喜び勇んで早足となってしまいましたので1時間40分で到着です。早速山頂周辺に咲き誇るツツジを確認です。ところが葉柄を見てびっくり、毛がびっしりとついているではありませんか。周りにあるツツジの数株を変えて観察するもみなおなじように葉柄に無毛のものは見当たりませんでした。エ~、これはどうなっているのでしょう?、標高を上げたのにもかかわらず、コバノミツバツツジばかりとは・・・
 強風が続いており、マクロ写真も容易ではありませんが、なんとかピンボケばかり撮ったものご覧いただきましょう。まず山頂一帯の個体です。以下全てコバノミツバツツジでしょう。

 続いて樋ノ水峠の個体です。

 最後に峠より7~8分降りたところで風がなくなったところでは葉の展開も大分過ぎた個体がありましたので撮ってみました。このあたりまで降りてくると花は完全になくなって葉のみの状態でした。

 ということで、ユキグニミツバツツジも見られるも、やはり今回歩いた北山の魚谷山一帯に咲くツツジはユキグニミツバツツジは少なく、コバノミツバツツジがほとんどのような感じでした。

ホームヘ