比良 細川尾根から武奈ケ岳 '13.2.7 晴のち曇り

 JR堅田=細川バス停-細川尾根-706P-北陵-武奈ケ岳-コヤマノ岳-南尾根-金糞峠-正面谷-イン谷口-JR比良

 南岸低気圧で太平洋側の地域にまで雪が降ったとTVは報じている。そしてこの日をはずせば、また北からの寒気団が日本列島へ南下し、日本海側は降雪となろうとのことで、今日しかなさそうだ、比良方面はどうやら山へ入れるような天気模様と読んだ。ところが、肝心の積雪はこのところの異常気温によってぜんぜん少ないのだろうか。

 こんな気持ちながら、あわよくばスノーシューも楽しもうと、アイゼンとともに担いだのだが、きっちり雪少なくて、最後までシューは歩荷訓練の用材となってしまったのだ。が、しかし、平日とはいえ登りも降りもまったく人の姿のない武奈歩きを初めて遭遇したのもよいのではと思いたい。
 もっとも山頂に着いた時刻がお昼を15分ばかり回っていたので、シューや踏み跡はあったが、みな立ち去った後に到着だったのである。だから厳密には武奈を独り占めしたとはいえないのだろうか。

 さて、堅田駅からの江若バスはいつもの学校の生徒以外の登山客は約1名のみ、やや、今日の天気予報をしっかり判断していないのだなとほくそ笑む登山客、生徒が下車すると運転手とマンツーマンであった。どこまで走ってもあたりには残雪すら見えない。もう諦めの心境である。(笑)

 バスは坊村すらも止まらずに終点の細川バス停(9:42)に到着、バス内で準備万端整っているためにすぐに歩き始めた。登山口から鉄塔を右に見て、すぐに直登道と右への巻き道に分かれるのだが、やっぱり右へ足は向いてしまう。ま、いいでしょう、登山はタイムトライアルではなく、山道を楽しむものであると心に決めながら最初は比較的緩やかな山肌を谷沿いに登り始めた。

 そして綴ら折れになるようになるとやや急登の始まりだったが、それでも標高500mまでくると直登道と合して、ここで荷をおろして1本たてよう。(10:17~22)、このあたりまで上がってきたのに、まだ雪は斑でそれを踏めるような状況でもなかった。(拡大画像は画像をクリック!)

 衣類調整すると歩き始めよう。でもこの後わずかで道には雪が出だしてきたが、3本松の左奥には釣瓶岳が顔を見せてくれ元気をもらえる。もちろんこの時間帯から青空も見えて日がさしてきだしありがたい。足元には以前のトレースが雨で消されながらもまだまだあって、締まった雪を踏みしめながら行くともう706Pの平な地で、見ればイヌシデ、ミズナラにカエデだろうか、3本が並んでいた。ここで少し休んでいこう。(10:45~52)

 単独行だとどうしても小休止はそう何度も取らないのに慣れてきてしまうのだ。この地からはいよいよ急登が始まり出す。汗もよく出てきだすと標高800mあたりだろうか、岩場混じりの一帯だが、雪がついているのでそんなに苦にはならない。
 さぁ、どんどん行こう。でも次第に温度上昇により雪が柔らか目のように感じてくる。たまにはぼそっと踏み抜くことが出だしてきた。イヌブナが道沿いにあり、すぐにあたりには本ブナが次第に太くなりだすと、それ行け、ブナに負けるなと元気を出そうと頑張れる。
 次のブナは二股に分かれた大木が道に立っている。いや、二又のブナだけではない、そこそこの大木が注意深く歩けば見られるのもうれしい尾根道なのだ。もちろん、その後にはイワウチワの葉が所狭しと雪溶けの地に顔を覗かせてもいた。この開花期にも訪れたいものだ。

 そして二又ブナから20分も歩けば標高1000mで、そこそこの大きさの杉の立つ地に上がってくる。だが、ここまで来れば後には急登もない。ただ、この杉の北東側に小さな支尾根が下っているので、細川尾根を下りに取る時には要注意箇所だ。杉の木前をそのまま右方向へ真っ直ぐに行きかねない。ここを杉に沿って左(北西)へ下山しよう。

 
下山時は奥に立つ杉手前を右は×
杉沿いに左へ降りるのが○ 

 その杉から15分ほどの間がやや細いやせ尾根だがぜんぜん大丈夫だ。南東方面の稜線は西南稜が至近距離となってくる。でもこの時間帯は逆光で写真は難しい。すると東方向がぱっと明るくなって北陵から釣瓶岳、蛇谷方向の大パノラマが飛び込んでくる。ずっと細川道は樹林の中のようなものだったが、ここにきてさらに北陵下部の樹氷の景観に思わず、お~ビューテェフル!!と叫んでしまった。

手前釣瓶に奥蛇谷ケ峰 北陵の樹氷はGooだ! 細川尾根の頭が待つ

 細川尾根の頭からすぐで縦走路の北陵に合流する。そして目指す比良山系の雄である武奈ケ岳はもう山頂の柱が見えている。西北の強風を受けるために雪は吹き飛ばされてないに等しい。山頂にはシューなどの踏み跡で雪は踏み荒らされているようだ。
 山頂だ(12:15~13:15)、ポツねんと裸同然に立つ3等三角点にタッチして挨拶しよう。北陵から登って1214.4mと低山なれど、十分雪山の頂に立ったと満足させてくれる山なのだ。

北陵側から武奈ケ岳 武奈山頂も地が出てる

 誰もいない、独り占めかな?、、まずは周りの写真を撮ろう。釈迦やヤケオ山などにリトル比良の山並み、琵琶湖はやや霞んでいる。そして南へコヤマノ岳から打見山に白銀に輝く蓬莱山も薄日に照らされていた。西南稜は真っ白だが、その間の先には北山の雄の皆子山も座っている。そして奥の方を凝視すると愛宕山もどうにか見える。まずまずの展望を楽しみ、さぁ昼食としよう。いつもの東よりに一段下がって足場をかためてテーブル設営としよう。
 そうだ、今日は珍しく「まいわし」がお供してくれているのだ。早速焼いて食べよう。お~極上の山の上でのご馳走となるではないか。琵琶湖に浮かぶ八幡の沖島を眺めながらゆったりと昼食タイムは流れるのだ。

東方向の眺め 蓬莱山の白銀は招くヨ まいわしが極上

 1時間も踏ん張った武奈山頂だったが、ここで食事をとりながら比良山系を思いめぐらしていた。住む関係から、ずいぶん比良通いが長いのだが、尾根はもちろん、谷あり沢あり、高層の池あり、湿地帯ありと小さな連なりとはいえ、比良はすばらしい山塊であろうと思わずにはいられない。
 もっとも近年は武奈、蓬莱、蛇谷などといった人気の山ばかりに登山人口が増えているのではなかろうか。こういう自らもその傾向にあるのだが、まだまだ面白い小さなピークや峠道、そして湿地帯にブナや芦生杉の大木など見どころいっぱいの地は無数にあろう。

 こんな山歩きにしていきたいなと思いながらの山頂レストランであった。でもそうはいっても気がつけばクーラーが利きすぎているようだ。お~寒い!、腰を上げよう。でも細川尾根のたっぷり積もった雪道を登りたいとリベンジ心がむくむくと湧いてきているのであった。こんな思いが出てきたのを潮時にして、予定通り下山はコヤマノ岳南尾根を金糞テン場へ下って、金糞峠から青ガレ、そしてイン谷口へ下ろう。

 金糞峠(14:20~35)、ここまでくればもう帰ったと同じだ、腹おさえしようと中休止だ。そして正面谷道は目をつぶってでも歩けると油断して、そのまま降り始めたのが誤りだった。5分もするともうたまらない、やはりアイゼンの世話にならざるを得ない。すべる滑るの繰り返しで峠で履くべきであったのだ。
 ガレ地の水場あたりまでくると雪もほとんど少なくなってきた。その水場は雪水がそこそこ流れている。半時間ほどで青ガレだが、右から左へ中ほどを歩かなければ、今はそんなに落石の危険はなそうだ。そして、峠から40分もかかっただろうか、かくれ滝(15:18~23)に挨拶しよう。そしてここでアイゼンもとろう。「かくれ滝」今日も元気に水音をたてていたのが喜ばしい。

正面谷に落ちる”かくれ滝”

 北比良峠から下山口の大山口でしっかりアイゼン、スパッツともに洗って片づける。かくれ滝以降の足元は雪も消えてイン谷口の出合橋(16:00)から後は半時間の歩きだ。ゆったりのんびり、武奈の余韻を胸に今日も元気に山頂を踏めた喜びいっぱいでJR比良駅(16:30)へ向っていた。ほぼ7時間の比良詣でであった。

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