京都北山 雲取山縦走 '13.1.24 晴のち曇り

 花背高原前-寺山峠-ハタカリ峠-雲取峠-展望台-雲取山-二ノ谷-立命大WG小屋-三ノ谷出合-芹生-貴船神社-貴船口

 山好きな人であれば雲取山と聞けば、すぐ浮かぶのは東京都最高峰の雲取山(2017m)でしょう。あの深田久弥の日本百名山にも入っている山なのです。しかし、その同名の山が京都北山にも低山ながらあるのです。雲取山911.1mと可愛い山なのですが、雪は東京の本家には負けないでしょうね。
 この雪を多くつけることでは京都の岳人には知られていまして、少ないと言われる今年でも結構な積雪で山好きには格好の雪遊びの対象の山となっています。今日はまた天候にも最高に恵まれましたが、平日のために貸切の山となり、うれしいことばかりでした。まずは展望台からの比良山系などの大パノラマをご覧ください。

 

 

 さて、いつもの出町柳7:50発のバス、乗客7名の内で登山者は約1名、快調に走って登山口である花背高原前バス停は定刻の9:03着で、バス内で準備も万端ですから、すぐに歩き出します。入口の別所小中学校も廃校となってしまいました。もちろん歩き出すとすぐにこれまた22年前に廃止となってしまっている花背高原スキー場も廃墟となった建物等がもの悲しい風景となっています。入口の学校も廃墟となってしまうのでしょうか、イヤこちらは公共の設備なのでそんなことになるまでに手がはいることでしょう・・・。

 最初は少々凍てついていますが、スノーシューやアイゼンも不要です。もっとも今日もシューしか持っていません。わずかに水の流れを踏みながら行くと、すぐに尾根筋に変わって次第に雪も多くなってきますが、固まっていますので簡単に進めます。半時間ほどで寺山峠ですが、ようやくここでシューの装着です。
 本日のコース前半は左側が京都市右京区京北町、右側が左京区の境界線である公団巡視路を歩きます。見事に右側左京区側が自然林で、左側右京区側が杉の植林帯となっています。小さなピークが出だしてくると右前方には比良の両雄である蓬莱山や武奈ケ岳の白い頭が樹林の間から見えたり隠れたりしながら歩きます。

 そしてやや急な坂を下って左には京都産大WGの凌雪荘(10:00~05)が多くの雪を乗せて佇んでいます。このすぐ上には地蔵杉山というピークも見えています。ここで少し休ませてもらいましょう。もちろん建物外側であたりの雪景色を眺めながらの立ち休憩です。↓の画像は小屋をグルッと回り込んでショートカットして稜線に乗り上げた途中に振り返って撮ったものです。

 そして次はハタカリ峠です。でもその峠手前の上の分岐(10:24)が問題です。峠の手前の分岐地ですが、今では廃道化していると思われる以前S63年に国体が行われたコースの尾根取りつきを、左折で下りればハタカリ峠です。
 これまでここの分岐点には分かりやすい標識が付けられていたのですが、今回は分岐点やハタカリ峠そのものの標示もまったく見当たらなくなってしまっていました。たしか昨年3月にはハタカリ峠の標示は見たのですが・・。
 無雪期は枝や枯れ木などで道が塞がれ、ストップがかけられたりして、分かりにくさはそうでもないのですが、積雪期はここの分岐が不鮮明となります。といいますのは直進(北へ)、上黒田方向への尾根の樹木が少なく落葉樹により見通しがいいためにどうしてもそのまま直進してしまいがちとなります。
 左方向へは常緑樹のアセビの木が成長して左折すべき箇所の赤テープが見えにくくなっているのも原因です。標示は雪に隠れてしまっているのでしょうか、はたまたつけられた木が倒れてしまって雪の中かも知れません。それとも誰かが取り外してしまったのでしょうか?、場所を知っている人以外には取り立てて特徴のないハタカリ峠の地点すら現認することはほとんど無理でしょう。

 いずれにしても山歩きではこのような不鮮明な分岐もありがちですから、山歩きには地形図は必携で、それもその都度地形図を確認しながら歩く習慣をつけたいものです。ましてや登山地図では細かなピークなどを読み取ることは容易ではないことも承知しておきましょう。(拡大画像は画像をクリック!)

分岐を左折します。 アセビのすぐ奥の杉にある標示

 ここを左折できれば後は問題なく、ハタカリ峠(10:25)に下りた後に右方向の稜線に乗り上げ、ブナの大木やヤドリギが寄生するミズナラなど見ながら気持ちよく稜線歩き、こんどはすぐに下りとなればそこがフカンド峠とも言われる雲取峠(10:35~38)の雪の広場です。その中ほどのリョウブの木にいろいろと標示板が下げられています。そして右にやや下がると京都府大WG部のりょうぶ小屋が雪に埋まっています。

 この広場には以前はササが広がっていたのですが、今ではそのササも枯れてしまっています。鹿がほとんど食べてしまったのでしょうか?、さぁ本道は目の前の小ピークを右に巻きながら西へ行くのですが、今日こそこんなお天気です。東から北へのパノラマビューを楽しまなくてはいけません。

 展望台は標高910mで隣の雲取山とほぼ同じ高さ、コルの雲取峠よりそこへ40mほど登りますが、目の前ですから5分ほどで到着(10:45~55)です。お~なんてすばらしい展望日和でしょう~~到着最初の画像は正面に蓬莱山です。続いて2枚目が左に武奈ケ岳、さらに3枚目は武奈の左手前に桑谷山、その左が高島トレイルゴールの山である三国山、さらに左の方には小野村割岳でしょうか・・

展望台はすばらしきロケーション 比良山系 京都北山の山々

 やや風が冷たく、まだお昼には早そうだったので、10分で切りあげて本峰の雲取山へ進みます。わずかに戻って西向きに下り、本線に合してコルからひとつピークを登り上げ、少しばかり下ると本日の行程中でも最後の登りが待っています。でもすばらしかったパノラマが心にありますから、これくらいの登りはどうってことありません。

 展望台から10分で雲取山到着(11:05~12:35)です。この山頂はいつも風に雪が吹き飛ばされるのでしょう、いつも山頂としては雪が少ないのを不思議に思います。また雑木林に囲まれていますので、展望はないのですが、それでも樹間から東南よりにナッチョや天ケ岳でしょうか。見ながらここでお昼としましょう。森閑とした山頂で心静かに昼ごはんです。お蔭でそう寒さを感じずに過ごせました。
 さぁ、これからはすべて下り道ですから楽なものでしょう。ここからのコースは二つの道が下っているのですが、本日は三ノ谷ではなく、二ノ谷を行きます。でもニノ谷の雪の深さも尋常でないことも知っていますので、慎重に進みましょう。こんなところでアクシデントでもあればもう一巻の終わりですから、ま、それが楽しいのですがね~・・・。

 
 三角点の上に石が、、、右はmyスノーシュー

 雪の谷を泳ぐように下って10分強で立命大ワンゲル小屋(12:47~50)に着きました。でもこの小屋へつけば後はもういいでしょう・・・・。と余裕が出てきて立ち休憩します。ここは谷の出合いで条件のいい位置に小屋があります。テーブルやベンチもあるのですが、小屋の利用者以外の登山者には単なる通過点で、大休止するような位置取りではないのが残念です。

 この後のこれぞまさに北山の雰囲気いっぱいと思われる山狭の谷を渡渉を繰り返しながら、10分強で一ノ谷分岐(13:02)へ着きます。もっとも春や秋には風景がよすぎて写真に忙しく、とても10分では歩けません。近年この出合からは林道が伸びてきていますから、後はほとんど林道歩きとなります。といっても周囲はすばらしい景色の谷歩きですから気分を厭きさせることは少ない道のりです。車止めの赤いゲートが見えると沢に降ります。
 どうして林道は切れているのでしょうか?、これでは奥には車両は行けません、役所の仕事には理解できないことが多すぎませよね。きれいな沢を渡ってすぐに、右に目を向けるとこんどは三ノ谷へのこれまた赤いゲート(13:06~:09)が付いています。

ニノ谷から降りたゲート地 三ノ谷へのゲート地

 三ノ谷のゲートまでは芹生から侵入できますから、作業車のトラックのわだちが残っています。この後は完全な林道ですから本日の山歩きはここでエンドでしょう。ところがこれより芹生集落まで黙々と植林帯の薄暗い林道をテクテクと20分、すると見慣れた勢竜天満宮(13:28~33)でした。この祠はS55年とありますから、建て替えられてもう33年も昔となるようです。この勢竜天満宮は寺小屋跡で歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」の舞台になったところのようで、歴史的にも由緒ある神社のようです。

明神鳥居様式 勢竜天満宮

 ここで山歩きの装備を片づけます。それにしてもこの芹生の里集落には人はお住みなのでしょうか?、近年この地を通っても人の姿は見たことはありません。それともこの寒い時期のために、みんな家の中でじっと寒さに耐えてテレビでもご覧になっているのでしょうか。ほとうに限界集落のようですね。昔は京の隠れ家らしき看板も下がって営業されていたかの記憶があるのですが・・。

 そして灰屋川の橋を渡って氷かけている府道361号線を左へ足元に注意しながら登ると、標高680mと標示のある芹生峠(14:02)でした。標高差約60mほどの林道登りです。もともとこの峠より東向きには比叡山も見えていたようですが、残念ながら近年では杉が大木化してまったく展望を遮ってしまっています。

 この後は凍てついた峠からの下り道を降っていけば、川床料理の観光地として有名な貴船へ向って、下り一辺倒の車道歩きが続きます。降りの最初の方では滝谷峠から魚谷山への登山口を右に見送り、その先からは奥貴船神社、貴船神社と鳥居を撮りながら、ほどなく若いアベックの人たちと同じようにサイトシーイング気分でそぞろ歩きとします。

 なお、鳥居様式は一番オーソドックスなのが明神鳥居で、この様式は明神系を代表する鳥居と言われています。そんな明神鳥居の特徴は笠木に反りが入るのが最大の特徴となり、貫も外に突き出た形をとっています。

奥貴船神社 貴船神社

 そして芹生の里より1時間40分もかかって予定の叡山電車貴船口駅(15:20)にようやく到着でした。本日は9時過ぎからの約6時間20分の車両歩きの多い縦走となってしまいました。このコースは今回をもって終え、今後の雲取山歩きはコースの再考をしたいと思っています。やはりなんといっても雪の深いのが魅力ですから・・

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