安倍東山稜  第一登山口からの真富士山 '12.12.14

 二日目の安倍東山稜はこれぞ富士山の展望台として古くから親しまれている真富士山へ登りましょう。昨日の富士見岳に続いてお天気もよさそうです。調べてみると、こちらは昨日の山と違い情報が多くあります。そんなことから昨日の道迷い研修とは異なり、気分もゆったりと楽しめそうです。

 真富士山の情報はネットやガイドブックではほとんどが第三登山口から登っているようです。しかし、当方はそれでは物足りないので、第一登山口から目指します。そのようなことから第一~第三登山口までの間を主にレポしましょう。

 さぁ、静岡駅前からバスで出発です。1時間ほどで真富士の里を過ぎてすぐに平野で下車し、これより舗装林道を約40分登って行くことになります。バス停を少し戻り左上に見える車道へ路地から取りつきましょう。田舎料理平野の宿にしむらの看板も目につき、左手に大杉らしき大木の立つ神社の様子も見えます。よしよしこれでこの舗装路の林道を詰めればいいのだなと、まずはスタート地点が正しいことで一安心です。


にしむらの看板

 林道の日陰には斜面から流れる水が凍っているところも見受けられます。細い林道は左側の黒部沢沿いに進んでいます。車はスリップすればガードレールもなく、左側の谷底へ一直線となるでしょうから運転は要注意です。でも私はのんきに熊注意の看板や名残の紅葉を見ながら進みます。

 すると左側にワサビ田のモノレールでしょうか、そしてすぐに左前方に崩落個所のコンクリートで固めた斜面が異様に見えてきます。大きくヘアピンカーブで左に回ると右に地蔵さんが座っています。この番号が8番と前調べの第一登山口だなと一服しよう。

 ところが取りつきらしき道が見えません。地形図や手元に持参の資料を見直すと間違いなく八番の石仏から登るとあります。堰堤の端を無理矢理登るのだろうか?とかすかな踏み跡を見てよじ登って入るのですが、ブッシュでとても道とはいえません、見上げると黒部沢の上流の堰堤から高く水が落ちています。あんなところを登れる訳がない、でも今はほとんどの登山者は第三登山口利用だから廃道となったのだろうか?と考えます。  

八番の地蔵さん ありがたい言葉 堰堤端を・

 でもあきらめてやっぱり第三登山口からとしようと林道を進むこと5分ほど上がると、右カーブの左へはっきりと分かる指導標が立っているではないですか。すぐに地蔵さんに近づくと何と九番と書かれているのです。

 ワー、前日の思い込みをまたやってしまいました。ガイドブックに書かれていた八番の地蔵さんはなんだったのでしょうか。でもやっぱり地形図にはそんな第一も第二登山口なんかも表記されていません。ガイドブックの第一登山口の地蔵さんの八と九の間違いだったのですが、今回はわずかな距離だったために被害はほとんどなくて助かりました。要するに出版物でもこのような間違いがあるのですから、チェック機能のほとんど少ないネットなどは信用度は高くないと思いたいですね。  ((以下、小画像クリックで拡大画像が見られます。))

第一登山口 九番の地蔵さん

 さぁ、正しい第一登山口から取りつきましょう。でもすぐに直進尾根へのかすかな踏み跡と右(東)への巻き道への薄い道が出てきます。さて、この分岐は?と地形図を見ましょう。すると尾根直進では上の林道へ出ると第二登山口と思っている箇所まで相当戻らなければなりません。
 次の登山口は黒部沢の北への支流方向に行くはずですから、ここの分岐は近い右の巻き道方向だと判断、進むとすぐに赤布が出てきました。赤布はできれば分岐につけたいですが、人間の心理として、初めての人は分岐でさぁ、どっちの時点では赤布はつけられないのでしょう。
 そしてこれが正しいと自信ができると印をつけるようになるようです。今から思えばその赤布をはずしてバックし、分岐へ付け替えるようにすればよかったかな・・と思ったのですが、後の祭りでした。私もこの時点ではそれだけの精神的な余裕がなかったといえるでしょうか。

 しかし、この第二登山口までの登山道は右に切れ落ちて細かったり、またしっかりとした古道らしき箇所があったり、やや無理矢理踏んでいる所があったりと決して多くの利用があるような道ではなさそうです。途中植林の間から右上に真富士神社が祀られている燕岩らしき奇抜な形の岩峰が見下ろしているのが見えると、第一登山口ルートの終わりは近くなってきます。

 燕岩が見えてすぐに林道に飛び出し、右を見ると左側に第二登山口の標識等が見えてやれやれでした。一本立てながら第一登山口より18分で上がってきたことを確認し、前調べの十二番地蔵さん、鎌沢橋や地形図も確認して、安心の休憩でした。

第二登山口 地蔵さん 十二番地蔵さん 鎌沢橋

 5分の一本で腰をあげます。少し登るとすぐに鎌沢を渡る古い木橋を通過で、その後3分でワサビ田跡の水場に着きます。これはきれいな水場で喉を潤します。こんなところに水場があったのか、これなら、水を減らすべきだったのかなと思う勝手なわが身でした。
 でも足元はガレガレで歩きづらくなっています。結果的には真富士山コース中で一番歩きづらい時間帯となっていたようでした。でもそう長くはありませんので心配はいりません。やがてきれいに伐採されている樹林帯までくると平らになって、各所に座るお地蔵さんも笑顔でようこそおいでやす、と出迎えてくれているのだろうかと思うほど余裕が出てきます。このコースはほんとうに石仏に導かれて山頂を目指すすばらしい雰囲気ある道のように思えます。

鎌沢の木橋 ワサビ田跡 足元は歩き辛い 涸沢を過ぎると

 地道の林道を横切って少し登るとまた燕岩がはっきりと近くなってきています。これより少しで明るくなったなと見上げるときれいな下り者用の標示がある車道に飛び出ました。この標識は下山時は見逃すことはなさそうです。私はこの第二登山口コースを40分で登ってきました。
 すぐに右上の道へ進みましょう。すると古い登山口らしきところにも標示があります。見るとその標示内に真富士山登山口、是より300Mと赤矢印があります。この箇所は旧登山口が廃道となっているようです。

燕岩が近い 車道に出る 旧登山口

 旧登山口跡から5分で現在の第三登山口到着です。ここには5~6台の駐車スペースもあって、マイカー登山者向けの登山口となっていますが、トイレや登山届ポストなどはありません。涸沢の手前の植林帯を登ることとなります、この後のレポはネット上に多数ありますので、私は極、簡単にとどめさせていただきます。

 登山口から黒部沢源流の水場に20分、そこからヲイ平までまた20分で二又となります。どうやらヲイ平は老平とのことのようです。ここを右(南)へ第一真富士山を目指します。この分岐が過ぎるとすぐに自然林となって分岐から半時間で苔むした岩塊斜面を通過となりますが、とりわけこの場所は気持ちよく雰囲気のすばらしいところです。ここまで来ると真富士神社奥宮は近いですね。

 

第三登山口 黒部沢源流 二又のヲイ平 苔むす岩塊斜面 真富士神社奥宮

 この奥宮からほぼ10分で山頂到着です。第一登山口から第一真富士山まで休憩を入れて2時間40分で登ってきたことになります。この展望、目がくらくらです。お~、このようなすばらしいパノラマに出会えたのは久しぶりでした。ラッキー!!


第一真富士山より

↓画像は山頂からの展望です。一番右画像は南方面の竜爪山、左は高山で中央奥には久能山でしょうか。遠くに駿河湾から伊豆半島も見えました。

 貸切の山頂でのんびり40分近くも富士と対峙しながら美味しいお弁当は格別でした。思いもかけず昨夜の宿となったガイド協会の方の奥様お手製のお昼で、それにデザート付きには恐縮してしまいました。大きな感謝でした。

 さぁ、次ぎは第二真富士山へ向かいましょう。崩落により通行止めとなってしまっている東の河内への分岐を見送ると下りになってコルの真富士峠に10分で降り立ちます。登りにかかるとすぐでロープ場が登場しますが、何か所か岩交じりでロープの張り巡らせている箇所がありますが、慎重に登れば支障ありません。稜線に出て少し北向きに進むと第二真富士山にコルから半時間もかけてゆっくりと上がりました。

 そうそう、本日の帰りは「第三登山口に迎えに行きます」と昨夜の仲間のうれしい一声のため、このあたりからその約束の15時の半時間前までに間に合うように超ゆっくり歩きにギヤチェンジです。普通に行けばコルから第二真富士山まで20分で行けます。

 着いた山頂からのビューもすばらしいものがありました。さすがに古くから親しまれている富士山の二つの展望台には身震いするほどの大感動のひと時が送れました。なんと幸せな事でしょうか。


第2真富士山より

ロープ場多数あり 第2真富士山山頂 オ~富士山だ!

 さぁ、下山しよう、でも稜線にはヒメイワカガミの紅葉している葉がいっぱいあったので、写真も撮ろう、ついでにブナやヒメシャラもあるようだとのんびりと撮影タイムです。でも気がつけばやせ尾根のために結構冷たい北風が吹きつけています。お~ブルぶるだぁ~・・・下りのロープ場はさらにゆっくりと降ります。途中頭をあげると先ほどの第一真富士山に昨日の富士見岳さらに奥には竜爪山も見えていました。

ヒメイワカガミ
ブナ

ヒメシャラ
第一真富士山

* ヤマイワカガミとヒメイワカガミの相違点等(撮れたてドットコムの植物図鑑より)

ヤマイワカガミは,山地のやや乾いたところに生える多年草。本州中部の太平洋側の山地に分布する。
イワカガミ属の仲間は,大きく分けると高山や日本海側に多いイワカガミの仲間と,太平洋側に多いヒメイワカガミの仲間に分けられる。ヤマイワカガミはヒメイワカガミの仲間に入り,葉の側脈が直線的で基部に集まることがないのが特徴のひとつ。
基準変種のヒメイワカガミなどとは,葉の鋸歯の状態で見わけることができる。本変種は,葉縁の基部近くまで鋸歯があるが,ヒメイワカガミは基部近くに鋸歯はない。またヒメイワカガミの葉裏は淡緑色であるのに対して,ヤマイワカガミでは紛白色を帯びる。


 暗部から植林地内のガラガラ道を二又のヲイ平まで下って休憩です。でも林下は薄暗くてゆっくりとは気分的に休めません。しかたなく下りましょう。水場もパスして植林地をどんどん降るとそれでもヲイ平から半時間の14時頃でしたが、仲間はもう来てくれていました。
 本来ならこの後もバスであれば相当の歩きが待っているのですが、送迎車付きとは贅沢な山歩きとなってしまって、大変な迷惑をかけてしまいました。ありがとうございました。結局本日は第一真富士山からはスピードダウンしたとはいえ、平野バス停7:45~第一登山口8:30~第三登山口9:30~第一真富士山11:05~40~第二真富士山12:15~50~第三登山口14:00までの6時間15分もかかってしまいました。

 なお、昨日の富士見岳はこちらからご覧ください。

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