京都西山 愛宕山から紅葉の神護寺 '12.11.14

 久方の愛宕山へ登ってみましょう。保津峡から中尾根を大岩まで行き、その上の小さな岩で中と西尾根に分かれるのですが、最近鹿よけの網が設置されたことにより、右への中尾根道は登れなくなっていました。
 もちろん当方は予定どおり左の西尾根へ上がります。しかし、こちらも少し登ると登山道が網の中へとなってしまっています。やむなく無理矢理に網の周辺を登って、ようやく網の囲いがなくなって急坂を行きます。しかし、足元には倒木や枝が散乱して道も荒れかけています。
 さらに二個ある炭焼き釜跡の上の部分まで登るとまた檜の植林の中へ入りますが、こちらも最近伐採の手が入ったようで、道にもその枝が散乱し、登山道は荒れてきています。どうやらこのコースを楽しめるのも終わりとなるのでしょうか。
 1時間半で水尾別れの休憩小屋ですが、風も寒く感じるようになって一枚レイヤリングです。そして黒門から石灯篭の並ぶ境内までくるとそこそこ紅葉も残っています。すぐ先の休憩小屋から急な石段地点の紅葉が最高でした。

     

 石段を喘ぎながら上がっていくと立派な愛宕の両部鳥居が座っています。もちろん鳥居本の一の鳥居も表参道の清滝にある二の鳥居も両部鳥居です。この両部鳥居は神仏習合の名残として残っており、神仏習合とは仏教の思想で神道を解釈し、神仏を同じところに祀って区別をしないこととあり、神仏混淆ともいわれています。

 さぁ、保津峡より2時間で愛宕神社到着です。う~んやっぱり寒い!、温度計は1度でした。ストーブ小屋で15分ほど休ませてもらいました。帰宅後夕刊で関西の山も伊吹山、金剛山も初冠雪と報じていましたが、どうりで愛宕の山頂も寒かったのも当然でした。

 この後は比叡山や比良山系の山並みを遠望しながら、紅葉を愛でて首なし地蔵さんから神護寺へ長い舗装路を下ります。でもこの間にもあちこちで紅葉狩りを楽しみながらの歩きですから、苦にはなりません。


イヌブナの黄葉 
 
 
 
ウリハダカエデの紅葉
 

 そして2時間足らずで紅葉狩りで賑わう神護寺へ裏側から降りてきました。それにしても真っ赤なモミジたちがきれいでした。石段下あたりの紅葉茶屋もこのときとばかり盛況のようです。

             

 十分紅葉を楽しんだあとは多くの方々の上がって来られる石段を余裕で下りますが、登りの急坂には辛いものがあるようです。そして清滝川まで下りると高雄橋、こちらもすばらしい紅葉が続きます。今日は橋は渡らず、反対の右への錦雲渓へ下りましょう。

     

 そして事前に調べた「清滝川渓谷は紅葉の名所として知られ、清滝を起点に高雄までは錦雲渓、下流の落合までは金鈴峡と呼ばれている。整備された川沿いの道は東海自然歩道に指定され、ハイキングコースとして親しまれている。錦雲渓は約4km(約1時間)で、紅葉のほかに桜や藤、新緑などが楽しめる。東海自然歩道のコースなので、高雄→錦雲渓→清滝→金鈴峡→保津峡と歩くのがよい。」とあったのですが、今回は後半を保津峡ではなく、金鈴峡をそぞろ歩いて落合橋を渡らず反対の六丁峠まで上がってから小倉山経由で嵐山まで歩こう。

 まずは錦雲渓でした。この歩き始めくらいで聞いてみると三重県からやって来たという御嬢さんもひとり歩きを楽しんでおられました。これからは観光もいいのですが、山歩きもなさって山ガールを目指してねと話すのでした。

 この一帯は東海自然歩道でもあり、きれいに遊歩道として整備され歩きやすくなっているためか、結構遊びにきている人の姿もあります。途中には川端康成の「古都」を思い起こさせる北山杉並ぶ中も歩けます。京の有名な祭りをほとんど取り上げるこの古都もまた読まないとと歩きながら自らに言い聞かせているのでした。

 途中の清滝川にかかる沈下橋を渡るとお休み処にはベンチも数台ありますが、満員で紅葉は完全に終わっておりました。かたわらの石の上でゆったりお昼としましょう。紅葉ばかりでなく、風流な景色の中の清流を眺め、シダ類の中でもきれいな姿だと評判のイブキシダも観察です。そしてのんびり歩いていると清滝川の清流から離れていけば、もう人里の雰囲気近い清滝も目の前でしょう。

             

 いよいよ清滝でした。この一帯は紅葉がすばらしく、愛宕山への登山者姿や観光の人たちも多く見られます。金鈴橋や猿渡橋の朱塗りの欄干も生えて紅葉の景色に溶け込んで見えます。清滝川の流れの畔には与謝野晶子の歌碑や松尾芭蕉の句碑が苔むしています。

◎ 「ほととぎす 嵯峨へは一里 京へ三里 水の清滝 夜の明けやすき」 与謝野晶子

◎ 「清滝や 波に散り込む 青松葉」 松尾芭蕉

 もちろん川向には当時多くの文人や財界人たちの多くが青春を謳歌した常宿・投宿したともいわれる「ますや旅館」の姿も紅葉の中に溶け込むように残っているようです。

金鈴橋 猿渡橋 猿渡橋下 ますや旅館 与謝野晶子 松尾芭蕉 一番下流歩道橋より

 清滝あたりを十分堪能したあとは、金鈴峡を行きます。すぐに小さな橋を渡ると明神谷の一番下に小さな滝が今日は水量強めて元気に流れ落ちています。そして沈下橋を渡ると落合橋手前に上がって急な車道に出ます。今日も沈下橋あたりで、あたかも鬼の金棒のようなジャケツイバラの枝を確認しました。

     

 これからはきつい上り坂となりますが、わたしにはどうってことはありません。20分ほどで六丁峠手前から小倉山への山道を取ります。この一帯は風致保安林でもあります。道中、嵐山高雄パークウエイと出会うあたりまではやや道細く、ロープ場もあって注意しながら歩きます。

 ところで風致保安林ですが、数ある保安林17種の中のひとつであります。ところが比較的この表示を見るのは少ないでしょう。調べてみますと「水源涵養保安林」が約7割を占めており、「土砂流失防備保安林」と「土砂崩壊防備保安林」を含めると保安林全体の9割をしめているようです。
 この「風致保安林」は、名所や旧跡、趣のある景色などを維持・保存するための保安林、つまり景観が美しく、我々に「癒し」を与えてくれる森林のようですが、全国的にも0.2%しか指定はないとのことで、如何に数少ない風致保安林を歩かせてもらえるのかが分かるとおり、このことを幸せと感じ、ゴミなどで汚したり、道を痛めたりしないような心がけとしたいものです。

 そして白い大きな道標からは遊歩道なみの道となって石畳を行きます。ウワミズザクラや植栽されたスズカケノキなどの黄葉を楽しみながら、ほとんど登ってくれば右側に小倉山への表示ありで山道を進めば、すぐに樹林帯の中で展望もない296mの山頂です。でも観光地嵐山渡月橋から見れば、あれが小倉百人一首で有名な小倉山かとどなたでも関心のわく丘なんです。

風致保安林 六丁峠から入る 大きな道標
これより石畳
小倉山山頂

 少し休んでいこうと腰を下ろしておやつを口に入れていると、一転にわかに空が暗くなってきました。やむなくすぐに立ち上がって南方向へ嵐山めざして逃げました。でも雨につかまってしまいましたが、南東側の稜線に頭を出す、嵐山、松尾山など見ながらどんどん下っていると、雨はそう強くない間に上がってくれ、嵐山の亀山公園まで下りてきますと空は青空となってくれていました。
 公園内の紅葉も見事ですばらしく、小倉百人一首に多く選ばれている古今集の選者でもあった紀貫之の歌碑を探してパチリです。「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける」
 もちろん展望台あたりから保津川の舟下りや向かいの紅葉を楽しみながら、観光客の姿の一員となっているのでした。今日は変化ある山歩きで、一日十分な時を楽しむことができたのでありました。

         
       
展望台から保津川を見下ろす    公園内のもみじも見事        紀貫之の歌碑   川向の紅葉もすてき

 最後は愛宕山へ登ればいつでも写真を撮りたくなる嵐山の中之島公園からです。そして小倉山と愛宕山を見上げながら今日一日を振り返っているのでした。(本日の歩きは7:20から15:10までの約8時間)


左の丸いのが小倉山、右は愛宕山

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