栃木 カタクリの三毳山 '12.3.28


 花の百名山としてもつとに名高く、山一面を覆うカタクリの大群落で知られる下野の国へ三毳山(みかもやま)を訪ねました。春とはいえ訪ねた日も頬撫ぜる風はなかなか手強く、さらに今年の寒さによって例年より満開の時期が概ね一週間は遅れているようです。そんなことから今日の群生地を染め上げる薄紫のカタクリの花は五分咲きのようでした。

 栃木県佐野市ではH18年にカタクリを市の花に制定し、街をあげてのカタクリ保護に取り組み、日本有数の規模で群生するということで、今では全国からのお花好きの方々がこの時期に押し寄せるとのことでした。
 JR佐野駅から東へ6kmほどのところで一番高い標高でも、わずか229mの丘のような北斜面の山裾に大きな群生があり、「水と緑と万葉のまち」にふさわしい「万葉自然公園かたくりの里」として佐野市が力をいれられ、毎年3月下旬から4月上旬には賑わうとのことです。今日も多くの花好きの人たちがカメラ片手に散策を楽しまれていました。

 今回私は佐野スプリングフラワーフェスティバル2012のかたくりの花まつりが催されている(3/16~4/8)とのことで訪ねることとしましたが、さすがに花の百名山にふさわしい大群落のカタクリに大感激となりました。

 
   
カタクリ(ユリ科)芽吹き前の落葉広葉樹に生える春植物の代表、 
他の植物が茂る前に姿を消すので、スプリングエフェメラルといわれる。

 続いてこれまたカタクリと同じように大群落のアズマイチゲにも大満足でした。アズマイチゲといえばカタクリと同じでこちらも全国各地に分布する種であり、あちこちで目にはしているのですが、これだけ無造作なほどの大群生は聞きしに勝るものでした。

 アズマイチゲ(別名ウラベニイチゲ、キンポウゲ科)花弁状の萼は8~13個、茎葉は3個輪生し3出複葉

 他にはエチゴキジムシロ、フクジュソウ、ヒメカンスゲ、カントウタンポポ、タチツボスミレ、ヤマウグイスカグラなどが見られましたが、この時期に咲く種はそう数多くは見られないようです。
 しかし、春の花として時期をずらせばイチリンソウ、ニリンソウ、ヒトリシズカ、アマナ、チゴユリ、ナガバノスミレサイシン、ホウチャクソウ、ヤマザクラ、ヤブデマリ、ヤマツツジなど多くの山野草や樹木花が見られるようです。

 私は今回は三毳山ハイキングコースを管理センターのある北入口(9:45)から歩き始めて、かたくりの里でまず大群生地を観察し、そのままコースを上にとって山頂である三毳山を踏みました。(10:30~35)
 この山頂は青龍ケ岳ともいわれているようです。ここは東から北、西にかけてそれなりに開けていますが、今日は雲多くそう遠望は聞きませんでした。晴れれば筑波山、日光白根山、男体山など冠雪の百名山たちが頭を見せてくれるようです。
 また山頂には栃木テレビの中継基地としてアンテナが陣取って立っていますが、狭い山頂で人もひしめき合うほど多く、ゆっくりとはできませんでした。

 そして南へ向かって稜線を縦走します。クヌギ、コナラ、リョウブなどの落葉広葉樹の雑木林が多く、植林はなくて気持ちの良い丘でした。三毳の関跡の分岐から東へ左手を下って岩舟地区のかたくりの園へひとまず東屋まで降ります。
 監視員さんに見せていただきますと声をかけてからいよいよ上り斜面に釘づけでした。細長いキツネノカミソリの葉っぱがいっぱい芽だしで、フクジュソウはもう終盤でしたが、カタクリやアズマイチゲの大群生が続きます。シャクナゲの木はアズマシャクナゲでしょうか。何本もカタクリ地に見られます。

 こちら「かたくりの園」でも北の「かたくりの里」に負けない両種が咲き誇って競争しているようでした。飽きるほどのカタクリ、アズマイチゲにはもういいと思うほどの量でした。

 そしてこの園よりまた登りあげて、こんどは南のピークである中岳(210m)(11:20)でした。関西と違い、関東の山では山頂に山名札を下げるという慣習はなさそうで、この山頂にもそれらしき札は見当たりませんでした。
 ここには珍しく2等三角点が埋まっています。タッチして挨拶、すぐにさらに南へ向かいます。道には蝋燭の岩とかいろいろの名前の説明板が立っています。

 そして2〜3度フラワートレインの走る舗装路を横切って、パラグライダー地や三毳神社奥社から急な石段を下って、みかも山公園のある南入口への駐車場まで下山します。ここのパーキングには立派な休憩舎、トイレに自販機もあり、ここでお昼(11:45~12:05)としましょう。

 もちろん一服が済めば、この南口からのアクセスはマイカー等以外はありませんのでまた同じルートを戻りましょう。少々きつい登りは覚悟の上ですが、これもまたいい運動となることでしょう。
 中岳から左へのハイキングルートでなく、右への分岐をとってかたくりの園へ下ります。先ほどより大分時間が経ちましたから、人影はめっきり少なくなったようです。でもお花たちは元気に花びらを広げて待ち受けてくれています。

 そして下った東屋からまた三毳の関跡へ登りあげて、稜線に戻ります。自然林続く遊歩道のような道から見上げると、三毳山ピークが雑木林の木の間越しに見えています。
 三毳の関跡から20分ほどで三毳山の青龍ケ岳(13:05~20)です。こんどは人も少なく、犬連れの地元のハイカーが休んでおられましたので、情報収集にと休憩にお付き合いでした。

 いろいろな話を聞けました。するとまたぞろ団体さんのお出ましが連続で上がって来られます。やっぱり人気の山のようです。賑やかなことこの上ありません。でもみなさん可愛いカタクリに心癒されたのでしょうか、和やかな顔・顔がずっと続きます。

 登ってきた方たちは一様に南へ下って行かれます。さぁ、こちらは反対に人影のなくなったかたくりの里方向へ下りましょう。ところがどうでしょうか。そのお花畑が近づくと、またまたすごい見物者の人だかりがあります。

 でも人も多いがお花もカタクリ、アズマイチゲが大満開のようです。先ほど登りで見た時にはまだ温度が上がっていなかったからでしょうか、今は曇って時には小雨もぱらつくほどでしたが、気温上昇のためでしょう。ほとんどが花開いてきれいな花園が繰り広げられています。
 その花園の中にようやくなんとか白花らしき個体を見つけたのですが、やや離れていたためか、はたまた風強くまたもピンアマで残念でした。北入口へは佐野駅までのシャトルバス時刻に合わせて14:45に下山としました。往復5時間で三毳山の山歩きが楽しめました。

 これで田中澄江の「新・花の百名山」で知った三毳山も長年の夢がかないました。できればカタクリの超満開時や山頂から居並ぶ百名山の展望もできる日の三毳山「かたくりの里」を再訪できればいいなと思うのでした。


 なお、今回の旅は親戚へ野暮用の東京行きでしたので、ついでに東京スカイツリーの新名所見物もしてきましたが、最終的な下部周りの工事が続いているだけで、スカイツリー自体はほぼ完成しているようでした。
 東京スカイツリー開業日は2012年5月22日からのようですが、東京の一大観光施設となることでしょうから、観光客で大混乱しかねません。というより予約の入場券もなかなか取りづらいのではないのでしょうか・・・?
 それにしても634mとバカ高く、ま下から見上げている人たちに混じって、首が痛くなるほど見あげているとふと我に返って、いったい我何する人ぞ?の心境でした。。。

 なお、高さはアンテナの最も高い先が634mで、第1展望台が350m、第2展望台が450mということで、観光客が上がれる最も高い位置は約450mのようです。
 

東京スカイツリー天望デッキ(第1展望台)

第1展望台の内部は地上高を表すフロア340、フロア345、フロア350の3層からなる。5m超の大型ガラスを360度に配置し、タワーの足元から約70km先までを展望できる。

東京スカイツリー天望回廊(第2展望台)

フロア445、フロア450の2層からなる。フロア450の来場客が到達できる最も高い位置は451.2mである。エレベーターはフロア445に到着し、ここからスロープ状の回廊を4分の3周歩いてフロア450に至る。ガラスが張り出したチューブ型の回廊は空中を散歩する感覚が味わえる。外見からは、らせん形状が確認できる部分である。(以上ウィキペディア参照)

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